from 西野浩輝

管理職の仕事を一言でいうなら、『仕事』と『人』のマネジメントです。

リモートワーク時代になり、『仕事』の面で多くのマネジャーが苦心しているものの1つが、「部下の仕事の進捗管理」でしょう。

リモートワークにおける進捗確認の難しさ

以前のように、物理的に同じ職場で仕事をしていないため、「Aさん、お願いしたXXの仕事、進んでるー?」とサラッと聞けなくなっているようです。

「わざわざ電話してまで、聞くのもちょっと申し訳ないしな・・」と気を使ってしまい、なかなか進捗確認ができません。

やっとタイミングを見つけて状況を聞いてみると、全然手をつけていなかったり、全く的外れのことをしていてイチからやり直しを指示する羽目になったり。。。

要は、適切なタイミングで進捗確認できないがゆえに、マネジャーのイメージ通りのスケジュールとクオリティで仕事を仕上げてくれないという問題が発生しているのです。

進捗確認の裏にある問題の本質

まさに「リモートマネジメントあるある」の1つだと思います。

では、どうすればいいのか?

いきなり解決策に飛びつく前に、そもそもこの問題の核心は何なのか?」を改めて考えてみましょう。

一番の核心は、「例の件、どうなっている?」と部下に聞かないといけない状態になっていることなのです。

いわば、部下が言われるまで報告をしてこないというマネジメント自体を根本から見直し、自ら報連相をしてくるように仕向けないと、リモート時代では問題は解決しません。

とはいっても、部下にしてみればどういうタイミングで報告をすべきかが掴めなかったりします。

進捗を確認するのではなく報告させる

そこで、おススメが「3割報告」

部下本人の感覚でいいので、「3割くらいできたかな?」と思ったところで、報告することをルールとして課すわけです。

3割報告の3つのメリット

この「3割報告」、利点は大きく3つあります。

1つは、上司・部下ともに仕事のムダが大きく減ること。

「3割の出来」というのは、その仕事の方向性と出来上がりレベルをほぼ類推できるちょうどいい度合です。
その時点でチェックして、仮にそこで軌道修正をさせたとしても、「完全に仕上がった後に、差し戻しをする」労力よりは随分少なくて済みます。

2つめは、部下の仕事の取り掛かりが速くなること。

部下からすると「締め切りギリギリになってから手を付け始め、一気に辻褄を合わせよう」というのができなくなります。
「3割報告」のために早めに取り掛からざるを得ず、結果としてクイックスタートになり、その分仕事も順調に進んでいきます。

最後は、部下が「任されている感」を感じることができる点です。

このルールに則って仕事を進めると、上司からいちいち「あの件どうなった?」と突っつかれることが激減します。

部下は自らの責任、ペースのもとで自分が仕事をコントロールしている感覚を持てるようになります。つまり、「任されている感」を持って取り組めるようになるのです。

3割報告を機能させるために上司が気をつけること

この「3割報告」ですが、継続的に機能させるための絶対条件があります。

部下に「3割報告をしたいんですが」と言われたときに、イライラした態度で、「後にしてくれ!」「メールで送っておいて!」と言わないこと。
部下は二度とあなたに報告をしてこなくなるでしょう。

どうしても忙しくて報告を聞けないときは、再度「報告を受けるアポ」を取り直しましょう。

「3割報告」は、上司・部下にとどまりません。

他人と仕事をする際には、ぜひ相手に提案してみましょう。
チーム仕事がスピーディにかつストレスなく進むことを実感できるはずです。

マネジメント・リモートマネジメントに関連するコラム

西野浩輝写真マーキュリッチ代表取締役
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。
西野著書写真

西野浩輝プロフィールはこちら