マネジメントの本質を教えてくれた、コトラー氏のひと言

マネジャーになると減るのがフィードバックされる機会です。「もうマネジャーになったんだから」というだけの理由で、指摘による気づきや成長の機会が減るのは怖いことです。今回はこの「フィードバック」に関して、フィリップ・コトラー氏との「ある出来事」についてお伝えします。

from 西野浩輝

現代社会に求められるマネジメント

最近、お付き合いするクライアントにおいて、ひとつの顕著な傾向が見られます。

それは、マネジメント研修を見直す企業が多いこと。

その理由を聞いてみると、管理職がこれまでのマネジメントのやり方では通用しない時代になっており、意識変革・行動変革が必要になっているからだと言います。

 

では、現代はどんなマネジメントが求められているのでしょうか?

一言で言うなら、「部下目線でのマネジメント」です。

上司目線で「権威」と「経験」によって引っ張るのでなく、文字通り「部下の目線」に降りて、「共感」と「基準」によってエスコートすることが求められているのです。

その「部下目線のマネジメント」を実践する中でお勧めする1つが「相互フィードバック」です。

私がマネジメント研修をする際も、必ずこの「上司部下で、双方向にフィードバックし合うこと」をしくみ化するのを推奨しています。

 

上司から部下へフィードバックをするのは普通のこと。

それだけでなく、部下からもフィードバックを受けるようにするのです。

このことの重要性を教えてくれた私の経験エピソードを以下にご紹介したいと思います。

コトラー氏の姿勢から得た大きな気づき

約20年前のことです。

私がまだマネジャーとして駆け出しの頃、当時勤めていた会社がフィリップ・コトラー氏を招いて講演会を開きました。

コトラー氏をご存知の方は多いと思います。

世界No.1と言っていいほどのマーケティングの大家で、講演料は1日で数百万円もするほどです。

実際、そのプレゼンテーションは、金額に相応しい素晴らしいものでした。

講演が終わって、私はすぐさま控室に挨拶に行きました。完全にミーハー気分で、お話をさせてもらおうと思ったのです。

会ってすぐの彼からのひと言めが私を驚かせました。

「Any feedback?」

要は、

「今日の講演を聞いて、私のために何か改善のためのアドバイスをくれないか?」という意味で聞いてきたのです。

その瞬間、ミーハー気分が吹っ飛ぶとともに、彼が何十年もの間、超一流であり続ける理由がわかった気がしました。

異国の地で初めて会った名前も知らない若造にアドバイスを求めるのだから、当然日常から周りの人に対してもやっているはず。

そうすることで、常に自分を高め続けているからこそ、ずっと一流なのだと。

これだけの大家になっても、常に自分の成長に貪欲である姿勢に私は心が震えました。

そのとき、もっと大事なことに気づいたのです。

「駆け出しのマネジャーである自分こそ、これをやるべきだ!」と。

翌日、出社してすぐこのことをメンバーに伝え、早速実践し始めました。

自分から部下にフィードバックするのみならず、自分ももらうようにしたのです。

おかげで、この「部下からのフィードバック」は自分の成長を大きく後押ししてくれたと思います。

フィードバックをする部下の目覚ましい成長

ただ、効果はそれだけではありませんでした。

部下自身の成長にも大きな意味があったのです。

そもそも、部下が上司にフィードバックするのはかなり大変です。特に改善点の指摘が難しい。

得てして、どうでもいい細部の指摘になったり、妙に遠慮した表面的なコメントになりがちです。

フィードバックの意味をなさず、上司にとっても無駄な時間になりかねない。それを避けるため、部下は上司を必死で観察し、本質を考えるようになります。

つまりは、上司への指摘が、部下本人の洞察力と思考力を向上させることにつながるのです。

私の部下のケースではまさにこのことが起こりました。

上司である私にフィードバックすることを通じて、目覚ましい成長を遂げてくれました。

 

「相互フィードバック」をはじめとする、「部下目線に立った上でのコミュニケーション」は、上司も部下も成長し続けることを可能にする、まさに現代に相応しいコンセプトだと言えます。

ぜひみなさんも自ら実践するのみならず、自社のマネジメント研修の内容に取り入れていただきたいと思います。

西野浩輝写真マーキュリッチ代表取締役
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。
西野著書写真

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