from 西野浩輝

プレゼンテーションに質疑応答はつきものですが、なかなか難しい局面の1つだと思います。

特に社内の上位層向けにプレゼンする際、四苦八苦している人も多いのではないでしょうか?

質問が出るということは、聞き手がしっかり考えてくれている証拠なので、基本的には歓迎すべきことなのですが、一方で困る点もあります。

無駄な質問を減らす4つのキラーフレーズ

「どう考えても重要でない、些細な質問」であったり、「このあと説明する内容を先取りして聞いてくる質問」などが典型例でしょう。

正直言って時間の無駄だし、場合によっては大事なことを言う前に時間切れになってしまう。そのせいで、通るはずの提案も通らない。

何とか避けたいし、避けるべきですよね?

今回はそういった「無駄な質問」を減らし、うまく乗り切るための4つのキラーフレーズをご紹介します。

 フレーズ(1)「約〇〇分の説明のあとに、××分ほどの質疑応答の時間を取っています」

プレゼンのスタート時に言うべきフレーズです。

この種のことを言わずに始める人が意外と多いのには驚きます。

ポイントは、「説明パート」と「質疑パート」が分かれている点と、おおよその時間の目安を伝えている点です。

それによって聞き手が、「全体を聞いた後に、優先順位をつけて大事な質問に絞って聞こう」と思ってくれる確率が高まり、些細な質問の発生をかなり減らすことができます。

注意点は、「あくまで聞き手の皆さんの時間を有効活用いただくためなんですよ」という雰囲気で言うこと。

したがって、笑顔でかつ毅然とした態度は必須です。

フレーズ(2)「イメージを掴んでいただくために、まずは大枠のロジックをご説明します」

これは、プレゼンの比較的前半に言うフレーズです。

まだ概要の説明をしているところなのに、せっかちな聞き手は、

「そこ、もう少し詳しく聞かせてよ」

「それって裏付けはある?」

「本当に正しいの?」

といった、このタイミングとしては細部すぎる質問を投げかけてきて、本質から逸れた議論になってしまうリスクがあります。

だから、この一言フレーズによって「このあとにちゃんと説明するので、もう少し我慢して聞いて下さいね」という趣旨の予防線を張るのです。

裏付け数字にうるさい人が聞き手にいそうなら、「詳細のデータは、配布した資料の後ろにつけています」と付け加えてもいいでしょう。

フレーズ(3)「他の選択肢も検討した結果を、配布資料の後ろにつけています」

このフレーズは、具体的な提案とそのメリットを説明し始めたあたりのタイミングで言うのが適切です。

なぜなら、以下の疑問を持つ人が出てくるからです。

「解決策はそれだけじゃないんじゃないの?」

「結論ありきで、決めつけで提案してない?」

「他の選択肢も含め、広く検討したのか?」

だから、その疑問解消のための先手を打ったこのフレーズを言うのが効果的なのです。

フレーズ(4)「この提案のデメリットやリスクに関しては最後に説明します」

提案のメリットを説明し終わる頃に言うと最適でしょう。

なぜなら、

「それをやるデメリットやリスクがあるんじゃないの?」

「それで本当に上手くいくのか?」

といった懸念が聞き手の頭の中に生じるからです。

そもそも人は経験上、「うますぎる話には、裏や盲点がある」と思っています。

だからこそ、このフレーズで先手を打つことで質問の先回りをし、結果的に無駄な質問を減らせるのです。

質疑応答のフレーズは「聞き手目線」ありきで使うもの

今回ご紹介したフレーズを言うことは、一見表面的な「さばくテク」のように見えるかもしれませんが、そうではありません。

これらはすべて聞き手のためなのです。

正直に白状すると、私自身聞き手のときに「後から考えると、どうでもいい些細な質問をして無駄な時間を使わせてしまったかもな・・」と後悔したことが何度かあります。

人は、細部が気になると、目的を忘れてこだわってしまうもの。

それを避けるべく、紹介したキラーフレーズによって無駄を取り除き、聞き手に最適な質疑応答の時間を持たせてあげようという配慮なのです。

そう考えて行うと、より実際の場面で使いやすくなるのではないでしょうか?

いきなり「4つ全部使え」とは言いません。

出来そうなものから少しずつ試してもらうと、予想以上にスムーズにプレゼンが進むことに驚くでしょう。

西野浩輝写真マーキュリッチ代表取締役
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。
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