from 西野浩輝

プレゼンで悩みを抱えている人は
「解像度」を上げることを意識してみよう

今回はプレゼンの悩みに対して「解像度を上げる」ことで突破口を見つける方法をお伝えしたいと思います。

「解像度」はデジタル画像やテレビモニター等でよく使われる、「表示の細かさや精密さの度合」を指します。

プレゼンテーションにおいて、「解像度を上げるとは具体的にどういったことなのか?」、「どのように応用し、課題解決に導くことができるのか?」をお伝えしてまいりたいと思います。

あなたのプレゼンの課題は何ですか?

質問です。

あなた自身のプレゼンにおける悩み、課題はどのようなものですか?

 ・アガッてしまう
 ・情報を詰め込みすぎる
 ・話が分かりにくいと言われる
 ・インパクトが弱い
 ・自信が持てない
 ・早口になってしまう

など、様々なものが挙がると思います。

そして、多くの人は「その悩みを長年抱えているが、なかなか直らない」と感じているようです。

なぜなのでしょうか?

課題が解決できない原因

大きな原因の1つは、問題の「解像度」を上げることを意識していないから。

喩えるなら、体調不良が続いているときに「身体がどうもだるいので、シャキッとさせたい」のレベルの課題意識で終わっている。

それでは当然、解決はままなりません。

「解像度」を上げ、身体のどの部位が不調の原因になっているかを特定し、そこに対策を施すことで、はじめて「体がだるい」という問題が解決されます。

プレゼンテーションでも同じことをやる必要があります。

では、上記に挙げたプレゼンにおける悩みのうち、「早口」の問題を例として取り上げ、探っていくことにしましょう。

解像度を上げて「早口」の問題を見る

より正確に表現するなら、「早口」が問題なのではなく、「聞き手に早口だと感じさせていること」が問題です。

これに関して「解像度」を上げて見てみると、主に以下の原因が考えられます。

(1)間が足りていない

私の指導経験上、これが一番多い原因です。

その際、「一文の中に取る間」が足りていないのか、「一文の終わりの間」が足りていないのかを意識して分析、解明するといいでしょう。

それによって打ち手が当然変わってきます。

(2)大事なキーワードでゆっくり言えていない

大事な箇所でスローダウンして強調して話すと、仮にそれ以外のパートが早くても、聞き手は意外とついていけるものです。

逆に、全体のスピードがゆっくりだとしても、大事な箇所が他と同じくらいのスピードだと、なかなか頭に入りづらいため、理解が追い付かなくなります。

(3)話すスピード自体が早い

一般的に話のスピードは、原稿に落とした場合、1分間に350字くらいが理想的だと言われます。

一度計ってみて、自分のスピードを客観的に掴むと良いと思います。さすがに450字を越えると、聞き手の理解のキャパを超えるでしょう。

(4)一文が長すぎて、理解が追い付かないので早く感じさせている

一文の前半の論点を頭に留めながら、後半をしっかり理解して聞くのは、聞き手にとって相当大変な作業です。

ですから、実際には話し手がそれほど早く話してなかったとしても、聞き手は早いと感じてしまいます。

(5)論点がどんどん移りすぎ

論点を提示されたら、聞き手はそれを咀嚼する時間が必要です。したがって、次から次へと話の論点が移っていけば、当然理解が追い付かなく
なります。

さらにこの問題を掘り下げると、「情報量が多すぎるから」という原因に行き着くケースが少なくありません。限られた時間内でたくさん伝えようとするから、当然「猛スピードで話す」ことになり、論点が次から次へと移っていかざるを得なくなるからです。

その場合は、一旦資料を仕上げたあとに、思い切ってそこから30-50%の分量を減らすという工夫が必要になります。

 

どうでしょう?

一口に「早口」と言っても、解像度を上げて問題を捉えてみれば、これだけの要因が考えられるのです。

その上で、処方・対策を考えると、より適切な手を打てるはずです。

当然のことながら、「早口」以外にも、例えば「話がわかりにくい」「インパクトが弱い」といった抽象度の高い問題にそのまま適用でき、冒頭で挙げた悩みの解決に導いていけます。

「解像度を上げる」をビジネス全体に応用する

この「解像度を上げる」手法はプレゼンテーションに限らず、様々なビジネスの場面で生かせます。

例えば、部下や後輩にフィードバックするとき。

「もう少し優先順位を考えて仕事をしろ」と言っても、おそらく相手は何をどう改善したらいいかイメージが付きにくいでしょう。

そんなときこそ、解像度を上げて問題を捉えます。

そのメンバーが抱えている仕事全体を一緒に見直し、それぞれのタスクの重要度と緊急度を確認しながら、「今何から手を付けるべきか?」を探っていくと、適切な策が見つかるはずです。

また、上司からフィードバックを受けるときにも効果的です。

例えば、自分のコミュニケーションの取り方に関して、粗い指摘を受けたときなど、すかさずこう聞きましょう。

「なぜそう感じさせてしまっているんでしょうか? 例えば、○○とか、××とかが理由ですかね・・?」といった風に、柔らかい言い方で「解像度を上げた」例を提示しながら質問をすれば、上司も解像度を上げて答えてくれるでしょう。

実はこの「解像度を上げて物事を見る」というのは、もう一段本質へと深堀りをしていくことに他ならないのです。

もし、なかなか解決しそうにない大きめの問題があるならば、この方法を適用してみてください。

長年の悩みが一気に解決されるかもれません。

西野浩輝写真マーキュリッチ代表取締役
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。
西野著書写真

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