社員の人材教育において、重要視されているスキルの一つがロジカルシンキングです。ロジカルシンキングは、論理的思考力と論理的表現力とに分かれます。

論理的な表現力を向上させるためには、まず土台となる論理的思考力が必要です。今回は論理的思考力を磨くために知っておきたい4つの思考法と5つのフレームワークについて解説します。

論理的思考力を磨くために知っておきたい4つの思考法

論理的思考力を働かせるためには、以下の4つの思考法を使い分けながら、情報を体系的に整理していく必要があります。

  • MECE
  • 演繹法
  • 帰納法
  • 弁証法

それぞれの思考法について詳しく解説します。

MECE

MECEとは、「漏れなく重複がなく」を意味する考え方です。1つのテーマに対し、要素を洗い出しながら、それぞれが漏れも重複もない「完全な全体集合」になるようにしていきます。

完璧なMECEを実現出来るケースは稀ですが、論理的思考力を働かせる際は、できる限りMECEに近づくように、情報を整理していく必要があります。

演繹法

演繹法とは、複数の事実を組み合わせることで結論を導き出す手法です。別名「三段論法」とも呼ばれており、以下のような論理を展開します。

  1.  犬には食事が必要である(事実)
  2. 生物には食事が必要である(事実)
  3.  犬は生物である(結論)

この演繹法は、様々なビジネスの場面で活用されています。たとえば、過去の成功事例やセオリーを元にビジネスの成功確率を判断する場合、演繹的推論を行ったといえるでしょう。

帰納法

帰納法とは、複数の事実から共通点を抽出し、結論を導き出す手法です。たとえば以下のような論理は帰納法によるものです。

  1. 犬には食事が必要である(事実)
  2. サルには食事が必要である(事実)
  3. (犬やサルは生物であり、キジも生物であるため)キジには食事が必要である(結論)

帰納法は、少ないデータからでも結論を導き出しやすく、スピーディに予想が立てられる点が強みです。そのため、ビジネスの場面では既存データが少ない新規事業立ち上げの場面などで帰納的推論が用いられます。

弁証法

弁証法とは、対立している物事から結論を導き出す手法です。たとえば次のような論理を展開した場合は、弁証法を使ったといえます。

  1. 犬には食事が必要である(事実)
  2. オニには普通の食事は必要ない(事実)
  3. 生物の種族によって適切な食事の内容は異なる(対立する事実から導かれる結論)

対立する双方の主張を切り捨てることなく、統合することでより良い解決策を見出す弁証法は、今までにない視点や新たな切り口を探したいときに用いられます。

この4つのアプローチのうち、問題解決における要素の洗い出しにはMECEのスタンスを用います。その他の3つは、結論に至るまでの論理を築くアプローチであり、論理的思考を多角的に巡らせることでより良い解決策を導き出しやすくなります。

理的思考力を働かせやすくするための5つのフレームワーク

論理的思考力を働かせながら物事を整理する際には、フレームワークがよく用いられます。代表的なフレームワークは以下の通りです。

  • So Why/So What(だから何?/それはなぜ?)
  • ピラミッドストラクチャー
  • ロジックツリー
  • マトリックス
  • ベン図

それぞれのフレームワークの使い方について説明します。

So Why/So What(だから何?/それはなぜ?)

So What? / Why So ?(だから何?/それはなぜ?)は、仮説の立案と検証を繰り返すことで、結論と根拠を相手にスムーズに理解できるようにするフレームワークです。

「So What?(だから何?)」の質問は、洗い出した要素をもとに、結論になりそうなものを抽出する際に役立ちます。逆に「Why So?(それはなぜ?)」の質問は、「So What?」で抽出してきた仮の結論が本当に手持ちの要素で証明できるかを検証してくれます。

この「So What?」と「Why So?」の繰り返しにより、課題の本質が明らかになり、問題解決の糸口が見えてきます。

ピラミッドストラクチャー

ピラミッドストラクチャーとは、主張や根拠の正当性を分かりやすく示すために用いるフレームワークです。結論(メインメッセージ)を頂点に配置し、そこから下の段へと根拠を展開していきます。

次で説明するロジックツリーと一見同じように見えますが、ピラミッドストラクチャーは結論に至るまでのプロセスを整理することが目的であり、用途が異なる点には注意が必要です。

ロジックツリー

ロジックツリーは、一般的に問題解決の手法として用いられるフレームワークです。最初に対象となる課題や問題を設定し、それらの構成要素や原因となる事象をツリー状に分解していきます。

MECEに基づいて、事象や問題を分類して小分けしながら階層ごとに整理していくことで、現状把握が容易になり、適切な問題解決策を見出しやすくなります。

マトリックス

マトリックスとは、事象や問題などを、それぞれ軸を決めて「縦軸の列」と「横軸の行」に並べながら整理していくためのフレームワークです。ビジネスの現場でよく用いられる比較表などもマトリックスの一種です。

4象限のマトリックスが最もよく使われていますが、列や行を増やしたマトリックスも場面に応じて使われています。それぞれの相関関係やポジショニングを可視化する際には最適なフレームワークといえるでしょう。

ベン図

ベン図とは、論理的思考力を働かせて大局を整理する際に役立つフレームワークです。情報やデータを「全体」と「パーツ」に分類し、パーツを並べた上で、それぞれの規模や重複する部分等を四角や丸を使って可視化します。

細かなデータ整理には不向きですが、たとえば業界の全体図や組織内の部署同士の関係など、大枠を捉えたいときには向いています。

まとめ

今回ご紹介した思考法やフレームワークはいずれもビジネスの現場で多用されているものばかりです。営業やプレゼンテーションなどで、実際に活用している事例を見かけたことがある人も多いことでしょう。

ただし、こういった思考法やフレームワークを使って、本当に分かりやすく納得の行く説明をするためには、論理的思考力に加えて論理的な表現力も欠かせません。つまり、プレゼンにおけるトークスキルや、文書等に理路整然と書くためのライティングスキルといったアウトプットスキルが必要なのです。

ロジカルシンキングを学ぼうとする人の傾向として、論理的思考力に注目するあまり、表現力のトレーニングが不足しているケースがよくあります。当社マーキュリッチの研修では論理的思考力と表現力、両方を実践的に身に着けるためのプログラムを各種用意しております。

貴社の課題に合ったプランをご提案いたしますので、社員の論理的思考力と表現力を強化したいという方はぜひお気軽にご相談下さい。

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