ストーリーテリングは、プレゼンや営業活動などさまざまなビジネスシーンにおいて必要なスキルとして注目されています。

ストーリーテリングを身につけることで、コミュニケーションをスムーズに行うことができ、相手に強い印象を与えたり、意図に合わせて相手を動かしたりできます。

ストーリーテリングについてさらに深く学んでみたいあなたに、今回は参考となる本を5冊紹介します。

いずれもストーリーテリングを学ぶ際に役立つ良書なので、ぜひ実践と合わせて参考にしてみて頂ければと思います。

プロフェッショナルは「ストーリー」で伝える

本書は、ストーリーテリングの第一人者であるアネット・シモンズ氏が書いた本です。

ストーリーテリングを「人を動かすための魔法の剣」としたうえで、その手法を丁寧に解説した、いわば指南書といえるでしょう。

「ストーリーの種類」や「語り方」など、ストーリーに関する基礎的な知識は全て網羅されており、ストーリーを交えながら人間心理の考察にまで踏み込んだ内容も学べます。

ストーリーを語るときに最も気を付けたいことは、相手に拒否反応を示されることです。いくら自分がストーリーを語っても、相手から拒絶されてしまっては何の意味もありません。

本書を読むと、相手に拒否されないための秘訣を知ることができます。100を超える実例が記されているので、スピーチ、プレゼン、会議などあらゆる場面の実践の参考として使える本です。

心に刺さる「物語」の力  ─ストーリーテリングでビジネスを変える

メンタリストDaiGoさんも推薦する本書は、プロのストーリーテラーとして活躍しているキンドル・ホール氏が手がけた本です。

ビジネス向けのストーリーテリングの構造を分析し、最も効果的なストーリーの作り方とその戦略的な活用の仕方まで解説されています。

ストーリーテリングは、リーダーのコミュニケーション、組織のメンバーへの動機付けから、新規の顧客獲得まで、さまざまな場面で効果を発揮します。

本書の最大の特徴は、ストーリーを4種類に分けることです。

ストーリーを下記の4つに分類することで、聞き手を魅了し、商品・サービスを差別化するストーリーを作ることができます。

  • バリューストーリー:提供する商品やサービスが必要だと顧客に納得させる
  • ファウンダーストーリー:企業・団体に投資価値があることを、投資家に納得させる
  • パーパスストーリー:従業員を奮い立たせ、彼ら自身を顧客にもする
  • カスタマーストーリー:顧客の体験を、見込み客に伝える

さらに4つのストーリーに対して、さまざまな事例やキンドル・ホール氏が実際に体験したエピソードを踏まえて詳しく書かれています。

自分自身のスキルアップはもちろんのこと、後輩や部下への教育にも役立つ内容です。

リーダーはストーリーを語りなさい―顧客と従業員を魅了し、説得し、鼓舞する究極の方法

「“ストーリーテリング”の専門家」、ポール・スミス氏が書いた本書は、ストーリーを語るコツとして、「わかりやすく、心に残る」ストーリーの作り方を解説している本です。

社内外でのコミュニケーションをはかる時に重要なのは「物語」であるという視点のもと、全30章構成になっています。

各章では、ポイントが端的にまとめられており、「イメージを描きビジョンを作るところ」から「具体的にどのような行動を起こせば良いのか」までわかりやすく記されています。

この本の内容に従ってストーリーの作り方を理解していけば、自ずと実践的なスキルアップが図れるような設計です。

ストーリーの実例も豊富に挙げられているため、たとえば後輩や部下にわかりやすく説明をするような場面で、話のネタやエピソード集としても使えるでしょう。

ビジネスと人を動かす 驚異のストーリープレゼン

タイトルだけを見ると、プレゼンの技術に重点をおいた内容に思われるかもしれない本書ですが、内容としては、ストーリーを用いて人の心を動かし、相手を納得させるための秘訣がまとめられています。

人前で話すことが苦手な人はもちろん、普段からストーリーを使った会話に慣れている人にとっても気づきが満載の本です。

著者は、「スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン」も執筆しているカーマイン・ガロ氏。

「人の脳はストーリーへの反応から逃れられない。よってアイデアを語るときは、常にストーリーに落とし込むべきである。」と記載されている通り、プレゼン時に役立つ知識がたくさん詰め込まれています。

本書のポイントの一つは、ストーリーテリングを使って心を動かすだけではなく、相手にきちんと行動を起こさせることにこだわっている点です。                                                                                                                                                                                    

本書を読んで理解すれば、相手に行動を起こしてもらうための会話術が身につくことでしょう

ストーリーとしての競争戦略

「ビジネスにおいて戦略を立てることはストーリー作りと同義である」というコンセプトの本書。執筆者は、一橋大学の教授であり、スカイマーク株式会社取締役や野村マネジメントスクール理事も務める楠木健教授です。

戦略とは、必要に迫られて、難しい顔をしながら作らされるのではなく、誰かに話したくてたまらなくなるような、面白い「お話」を作ることが本質であると本書では述べられています。

ストーリーテリングの観点からすると少し意外な本かもしれませんが、スターバックスやマブチモーターなど多くの企業が、自社戦略にいかに「ストーリー」をうまく活用しているか等、具体的事例も満載です。

500ページというボリュームですが、ストーリーテリングを具体的にどのように企業戦略に活かすべきか、具体的な行動指針を知りたい方にはおすすめの本です。

また、ストーリーを使った競合他社との差別化についても深く学ぶことができるため、社内での営業研修などに取り入れてもよいでしょう。

まとめ

ストーリーテリングの学びを深めるための本として、5冊をご紹介しました。ストーリーテリングに関する書籍は多数あるため、どの本を手に取ればいいのか、初学者ほど迷ってしまいがちです。

大切なのは、誰に向けて、何のためにストーリーテリングを活用したいのかという目的意識です。その軸を明確にした上で、自分の目的や活用場面に合わせて参考となる本を選ぶとよいでしょう。

また、ストーリーテリングはコミュニケーションスキルですから、本から知識を得るだけでは意味がありません。ぜひ本を読んだ後は、実際の現場でストーリーテリングを活用できるように、実践にチャレンジすることをおすすめします。

ストーリーテリング研修