日本たばこ産業株式会社生産技術センター様は、たばこの生産技術開発や、国内外の製造工場への技術支援などをおこなっている部門です。
生産技術センター様では2022年9月より英語プレゼンテーション研修を実施しており、マーキュリッチの西野浩輝が研修講師を務めています。
生産技術センターPlanning&Finance Teamチームリーダーの戸川創様、課長代理の坂下智也様、課長代理の嶋﨑亮太様に、英語プレゼンテーション研修を実施しているねらいや、マーキュリッチが提供している研修をどのように評価されているかについて、お話をうかがいました。
社員が英語プレゼン力を身につける必要性が高まっている
― まずは生産技術センターが、御社の中でどのような役割を担っている部門であるのか教えてください。
坂下様 当社は食品や医薬品などの事業も展開していますが、事業のいちばんの柱はたばこ事業です。生産技術センターは、たばこ製造に関する生産技術の開発や改善、製品の品質向上、製造工場への技術支援などを担っています。製造工場は国内だけでなく海外にも30カ所以上あり、工場への技術支援は国内外を問わずおこなっています。
その中で私たちが所属しているPlanning&Finance Teamは、組織全体の事業計画や財務、人材育成などを担当しています。人材育成の一環として、研修の企画・運営も担っており、今回マーキュリッチさんに英語プレゼンテーション研修をお願いしたわけです。
― 近年、生産技術センター内では、社員のみなさまの英語プレゼン力が求められる場面が増えてきているのでしょうか。
戸川様 今話しましたように、社員が海外の工場に赴いて、現地のスタッフに技術面でのサポートをおこなう機会は以前からありました。その際には、当然英語でのコミュニケーションになります。
それに加えて近年は、意思決定者に対して英語でレポートを提出したり、プレゼンをおこなう必要性が高まっています。と言いますのは組織の改編がありまして、当社の事業のうちたばこ事業については、当社の国際部門と一体運営となり、プレゼンもレポートも英語が標準となりました。
「英語プレゼン力=英語力×プレゼン力」という考えは新鮮だった
― マーキュリッチが生産技術センター様の英語プレゼンテーション研修を最初に担当したのは、2022年9月のことでした。以降、2023年11月まで5回にわたって研修を開催いただいています。
嶋﨑様 最初の2022年9月の研修については、研修を企画・運営したのは私たちPlanning&Finance Teamではなく、生産技術センター内の一つの部署であるMT推進部でした。その時の研修が非常に好評だったため、組織全体で全面的に展開していこうということになり、以後はPlanning&Finance Teamが運営を担うことになりました。マーキュリッチさんから提供いただいた英語プレゼンのメソッドを、組織全体の共通言語にしたいと考えたのです。
― どんなところを評価いただけたのでしょうか?
坂下様 実は私は、当時MT推進部に所属しており、第一回目の英語プレゼンテーション研修を受講者の一人として体験しました。その際に印象深かったのは、マーキュリッチさんの研修では、「グローバルな場面で求められるプレゼン」を学べるということでした。
社員向けのプレゼンであれば、より正確に理解を深めてもらうために、非常に細かい説明が多くなります。日本の人たち向けには、そうした構成や内容でもよいと思います。けれども私自身が海外の人たちを相手にプレゼンをおこなったときに実感したのは、あまりに細かく説明しすぎると、「結局、何が言いたいの?」という反応が返ってくるということでした。そんな中でこの研修で講師を務めたマーキュリッチの西野さんは、「誰に向けて、何を目的に何を伝えるのか」をクリアにしたうえで、そのメッセージが明確に聴き手に伝わるためのプレゼンの組み立て方を示してくださいました。プレゼンにおけるグローバルスタンダードが学べました。
もう一つ西野さんが話していたことで印象に残ったのが、「英語プレゼン力は、英語力×プレゼン力で決まる」という言葉でした。仮に英語力がレベル6だったとしても、プレゼン力のほうをレベル7、8、9と伸ばしていけば、英語プレゼン力は見ちがえるように高まっていくというものです。それまでの私は英語プレゼンに対しては、「正しい文法で話さなくてはいけない」「語彙力をもっと豊かにしなければいけない」というように、英語力を高めるほうにばかり意識が向いていたので、この考え方は新鮮でした。私自身、英語で話すのはけっして得意なほうではないので、「プレゼン力を伸ばすだけでも、英語プレゼン力は十分に高まる」という西野さんのメッセージは、英語プレゼンに対する不安感を払拭してくれるものとなりました。
マネジメント層も巻き込んで研修をおこなうことにする
― 戸川様と嶋﨑様は、2023年4月の2回目の研修から担当者としてオブザーブをされています。マーキュリッチが提供した研修についてどのような感想を抱かれましたか?
戸川様 私は、受講者が研修の中でおこなった模擬プレゼンに対する西野さんのコメントの的確さに驚きました。模擬プレゼンは、業務に即した内容やテーマでおこなわれたため、専用用語も多く、業界外の人にとっては理解しにくい部分も多かったと思います。また受講者の中には、正直私自身が聞いても、「話の組み立て方に課題があり、何が言いたいのかよくわからないものになっているな」というものもありました。ところが西野さんは、受講者がそのプレゼンで伝えたかったメッセージの本質をすぐにつかんだうえで、「それならこういう構成にしたほうが、もっとメッセージが伝わりやすくなりますよ」といったように的確なフィードバックをされていました。西野さんは本質をつかむ力が非常に優れていると感じました。そうやってフィードバックを受けた受講者が次に模擬プレゼンをおこなった際には、目に見えてよい内容になっていました。
嶋﨑様 西野さんはフィードバックのときには、それぞれの受講者の英語力に合わせて、英語に日本語を交えながら説明をしてくださっていました。またフィードバックの内容も、英語の表現に関することよりは、論理の組み立てや立ち振る舞いなどプレゼンに関することのほうが中心でした。そのため英語を苦手としている社員でも理解できるものになっていたと思いますし、坂下も話していたように「多少英語は苦手でも、プレゼン力を伸ばすことでカバーできるのなら、自分でもできそうだな」という自信にもつながるものだったと思います。
― 2回目の研修が終わった後に、坂下様から「次回以降の研修では、受講者にいきなり英語で模擬プレゼンをさせるのではなく、まずは日本語による模擬プレゼンと、それに対するフィードバックをしてほしい」というご依頼をいただきました。このご依頼の意図について教えてください。
坂下様 2回目の研修をオブザーブしていて、受講者の中には、同じ内容を英語ではなく日本語でプレゼンしてもらったとしても、途中で「ええっと……」と詰まってしまう人が多いのではないかと感じました。これは英語力の問題ではなく、そのプレゼンで自分が何を伝えたいのかメッセージや、どう伝えるかについてのストラクチャーが十分に練られていないことに起因しています。そこでまずは日本語でシナリオを構築して模擬プレゼンをおこない、西野さんからのフィードバックを受けて完成度を高めたうえで、今度はそれを英語に置き換えて、英語で模擬プレゼンをおこなうというように、段階を踏んで取り組んだほうがよいのではないかと判断しました。英語プレゼン初心者がいきなり英語でプレゼンをするとなると、「英語も、プレゼンも」ということで、頭がパニックに陥りがちですからね。実際に3回目以降の受講者の様子を見ても、段階を踏んでおこなうようにお願いしてよかったなと感じています。
― 3回目までの研修では一般社員を受講対象にしていましたが、4回目と5回目の研修については、受講対象をマネジメント層に設定しました。この狙いは何でしょう?
嶋﨑様 部下が作成したプレゼン資料を承認するのはマネジメント層です。そのため「グローバルな場面で求められるプレゼンとは何か」をマネジメント層が理解し、体得できていないと、部下に適切な支援や指導ができず、組織全体の英語プレゼン力の底上げは難しくなります。そこで受講対象を広げることにしたのです。
マーキュリッチさんの英語プレゼンテーション研修では、受講者同士でフィードバックをおこなう場面が数多く設けられています。またフィードバックをおこなう際の観点も示されます。西野さんはマネジメント層向けの研修では、「みなさんの日々の業務の中で、まさに部下にフィードバックをおこない、部下の成長を支援する立場にあります。今回の研修でぜひフィードバックのコツや観点を身につけてください」というメッセージを強く発信されていました。
研修時のあいさつで「みんなで壁を乗り越えよう」というメッセージを発信
― 生産技術センター様の特徴の一つとして、毎回英語プレゼンテーション研修の開始時と終了時に、戸川様など研修を企画・運営する立場の方々が、受講者に対して英語であいさつをすることが挙げられます。この試みについてお聞かせください。
戸川様 生産技術センターのメンバーは、日本語による日本人同士のコミュニケーション能力は非常に高いレベルにあります。けれども言語も違えば価値観も異なる海外の人とのコミュニケーションについては、多くの人が苦労しています。自分の伝えたいことをうまく表現できず、フラストレーションが溜まるケースも少なくありません。
そこで私が研修時にあいさつするときには、「みんな大変だよね。でも何とかその壁を一緒に乗り越えましょう。今回の研修で壁を超えるきっかけにしましょう」というメッセージを伝えるようにしています。あいさつを日本語ではなく英語でおこなうのは、英語プレゼンテーション研修ですから当然であると考えています。
― 最後に今後の研修計画について教えてください。
嶋﨑様 マーキュリッチさんの英語プレゼンテーション研修を受講した社員は、まだ組織の中で半分にも達していません。在籍中の社員の中でも「ぜひ受けたい」と希望している者もおりますし、異動によって新たにこちらに配属になる社員もいます。組織としての英語プレゼン力向上のためにも、英語プレゼンテーション研修は継続していきたいと考えています。
― 本日は貴重なお話をうかがうことができ、本当にありがとうございました。
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※取材日時 2023年10月
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