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refine_logoこの経済不況の時代に、右肩上がりの急成長を続けている日本リファイン。同社は経営・営業職トップ7を一堂に集め、2日間にわたりマーキュリッチの「営業リーダー意識変革研修」を受けました。
この研修を選んだ理由や受講後の評価について、日本リファインの代表取締役社長 川瀬泰人氏にくわしく伺いました。

日本リファインについて

─ 日本リファインの事業について、教えてください。

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当社は、揮発性有機化合物、いわゆる溶剤の精製やリサイクルを行っている会社で、業界では国内トップシェアです。

溶剤とは石油由来の洗浄剤や反応溶剤、剥離剤などのことで、電子機器を中心に繊維、医療、農薬など、さまざまな産業のモノ作りの過程に欠かせません。しかし、使用済みの溶剤をそのまま環境に排出すると、大気汚染を引き起こしたり二酸化炭素が増えるなど、重大な環境問題につながります。

そこで、溶剤を使用する企業のあらゆるニーズに応えるため、当社の技術力と設備を活用し、精製リサイクルと環境エンジニアリングの両面からソリューションを提供させていただいております。

─ この厳しい経済環境のなかで、右肩上がりの中期経営計画を出しておられますね。

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要はニーズがあるということです。新たに開拓できるであろう市場を計算に入れると、こうなるのです。
これから大きく伸びることが予測される分野の一つが、電気自動車に搭載されるリチウムイオン電池業界です。リチウムイオン電池というのは、携帯電話の中に入っている、あの電池のことです。ところが車の電池となると、おおむね1メートル四方、重量も200キロ以上もの大きさになります。

その電極をつくる時、溶剤を大量に使い、使用後には溶剤を含んだ排ガスが大量に排出されます。そのまま廃ガスを大気に出すと環境汚染になるので、これを無害化しなければなりません。
当社では、独自の回収装置を用いて空気と溶剤を分離します。空気は清浄化され、回収された溶剤は精製してハイグレード溶剤になります。同じ電池の製造工程で20回以上も使用できます。

─ 引き合いもかなり多いのでは?

この分野からの引き合いは多いですね。

自動車の電池をつくる会社は大手から新規参入まで、ほとんどすべてのところから来ています。また、中国をはじめ、海外からの案件もかなりあります。

さらに貢献できる企業であるために~必要なのは、営業の意識変革

─ 順風満帆な経営環境にあるようですが、今回、このような研修をあえて受けたのはなぜでしょう?

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やはりいちばん改革しなければならないと考えているのは、営業マンの意識です。

当社の営業は物を買って売るような単純なものではなく、今日までリサイクルできていないところで仕事を組み立てなければならないので、センスと熱意が必要になります。

他社にはない優れた技術を持っているのに、その技術を使ったビジネスの構築がうまくできていないんです。特に不況になってからしばらくは新規の仕事が取れなくなったのです。リサイクル率がわずか10%しかない業界にもかかわらずです。
これは不況だから仕事が取れないんだと錯覚をしている営業マンの意識の問題です。

営業の管理職は、環境に貢献するというわが社の使命を常に考えていなければなりません。さらに、それを実現していくビジョンを部下に伝えていかなければなりません。そのあたりの意識が薄いことは、以前から感じていました。
ここぞという時に踏ん張りのきく強い営業にしたいという思いがあり、今回の意識変革研修を、是非、受けたいと思ったのです。

まず手始めに、社長である私自身と常務、営業の部長5名で研修を受けることにしました。

同じ土俵で討議するから、本当に言うべきことが言える

─ とはいえ、経営・営業に関わるトップ7人の方々が丸2日間、研修に時間を割かれとは、思い切ったことをされましたね。

いや、別に思い切ったこととは思っていません。そのほうが早く意識改革が進むなら、2日であろうとやります。

─ 社内的に上下間の風通しをよくするには、他の方法もあったと思います。たとえば、社内旅行で親睦を深めるなどでもよかったのでは‥。

それも1つのやり方かもしれません。ただ、社内旅行の場合、親睦が目的ですから、仕事を前提とした意見交換や議論は避けて通ることができます。

しかし、「営業リーダー意識変革研修」では、研修の「事前課題」で研修参加メンバー全員のリーダーシップを評価し、それを相手に伝えなければならない義務を負わされるので、必然的に、他のメンバー一人ひとりに対する意見を書くわけです。
ですから、参加した人は最初から最後まで、このマトリックスから逃げることはできません。

さらに、研修の中のワークでは、「事前課題」に基づき徹底的に討議を重ねるので、やはり社内旅行とはワケが違います。

─ 社内の人間だけで集まって、討議する機会を持つこともできたのではないでしょうか。

第三者がコントロールしたほうが、本音が出やすいと思います。たとえば今回、西野講師が入らなくて、社内だけでやっていたらどうなるか。これはまちがいなく上下関係が入ってしまうんですよ。
私がいくら同じ立場で参加しようとしても、他のメンバーがそうはさせてくれないでしょう。

同じ土俵で忌憚なく討議する。これができるから良いのではないでしょうか。

マーキュリッチに「営業リーダー意識変革研修」を頼んだそのワケは・・・

─ 今回、マーキュリッチに「営業リーダー意識変革研修」を、オーダーメイドでご依頼された経緯を教えてください。

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先にもお話ししたように、営業職の意識に課題があることは、以前から感じていました。そんなとき、たまたま別の経営者研修で西野講師を知ったのです。講義の内容もおもしろく、そして、人柄にも惹かれました。
率直な、歯に衣を着せないものの言い方で、言葉が突き刺さってくるんです、ズシッと。

こういう感覚の講師ならば、たぶん研修メンバーのみんなが引きこまれるんじゃないか。そんなことを感じましたね。

その後、西野講師から今回の研修内容のプレゼンを受けて、「是非それをやってください」と、すぐに決めました。

研修のプログラムとタイムテーブル

─ 2日間の研修プログラムの内容を教えてください。

研修のプログラムとタイムスケジュールは、次のとおりです。

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【研修1日目】同じ土俵でお互いにフィードバック

─ 研修プログラムに沿って、順々に感想をお伺いします。
最初に行われた西野講師の講義は、どんな内容でしたか。

強い組織について」や、「求められるリーダーシップの要素」など、具体例を入れながらのレクチャーがありました。それから、その後のフィードバック・セッションを円滑に進めるうえでのルールや話し方・聴き方についての話がありました。
でも実は、その後のセッションのほうがどうも気になっていました。「事前課題」で書いてきた評価をもとに、お互いのリーダーシップの良い点・改善点を、次々に言い合っていくわけですから、いったいどんな進め方をするのかと思っていました。

─ では、実際にセッションを体験してみて、いかがでしたか?

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実際にやってみると、意外に抵抗はありませんでした。これが誰かへの集中攻撃となると、うまくいかなかったでしょう。
実際にはそうではなくて、皆が対等なメンバーとして同じ土俵で発言し、いずれは自分もヤリ玉に挙げられる。
そこがよかったんじゃないでしょうか。

─ 川瀬社長ご自身が、他の参加メンバーから意見を言われる番になった時、他の方達はどう関わってこられたのでしょう。

「事前課題」では、私に対して本当のことを書いてきたのかどうか、研修前はわからなかったんですよ。けれど、実際に話を聞くと、正直に意見を書いてきてくれていることが伝わってきました。
その一方で、全く見方がズレているなというのもありました。いろいろなことが解ってよかったです。

自分の考えはいろいろな場面で社員に話してきたつもりです。
しかし、その真意が意外にも伝わっていない。このことから、こちらからの一方通行のコミュニケーションではなく両方向コミュニケーションの機会をもっと多くしなければと考えるようになりました。

─ 1日目は、このようなフィードバックを続けられたのですね。

ええ、メンバー7人分じっくりと、それぞれのフィードバックを行って終了しました。

【研修2日目】『気づき』を『行動』につなげるために

─ 2日目のワークは、どのような内容でしたか?

前日の研修を受けて、自らの気づきなどを発表、さらにフィードバック討議というプログラムでした。つまり、「こうしたほうがいいよ」という改善点を、互いに指摘し合うのです。

─ 指摘を受けたメンバーは、どう受け止めていたのでしょうか。

意見ははっきり言い合っても、雰囲気はさほど悪くなるようなことはありませんでした。
というのも、西野講師の進め方が非常にうまかったですから。
メンバーからいろいろ言われても、これくらいだったら自分の許容範囲でやれる、「ちょっとのがんばりで、できるんだ」というような感覚を1日目の初めに持たされたので、皆、人から指摘されることをすんなり受け入れる準備ができていたのでしょう。

悪いところだけ直せと言われるのならへこんでしまうでしょうが、その一方で、あなたはこんないいところがあると相手をほめるのです。ですから、みんなは言われることをすんなりと受け入れられたのではないでしょうか。

─ ワークはうまく進みましたか。

どうしても抽象論に走る場面もありましたね。すると、そのたびに西野講師から「話しは具体的に」というアドバイスがありました。

これは言っていただいて、すごくよかったです。具体性がなかったら、改善活動には結びついて行きませんから。抽象論だけだと、当たり障りのない話になって終わってしまいます。

西野講師はひいき無く、的確にメンバーをフォローしてくれていたと思います。たぶん、みんなも心地よかったんじゃないですか。

─ 心地よい、というと?

心地よいというのは、単に気持ちがいいということではないんです。
客観的な視点で、しかも直球でズバッと指摘してくれますから、その言葉が刺さるんです。だから、あとから考えると「ああ、あの時、あんなことを言っていただいてよかったな」と、しみじみ思う。そういう感覚になるのだと思います。

【宣言とコミットメント】研修の成果を改善行動まで結びつける

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─ 研修最後に行われた『宣言とコミットメント』について教えてください。

研修で気づいたことをもとに、自分自身、リーダーとして改善すべきと考えたことを宣言するんです。
その「宣言」は過去からうすうす気がついて自分自身で治そうとしていたことでも良いのですが、時には、今まで本人は気付いていなかった事柄を指摘され、「ああ、そこがダメなんだな。具体的にこうすればいいんだな」ということを目標として宣言する場合もあります。

この「宣言」は、自分から言うところがミソだと思いました。自分自身が言ったことに責任を持たなければいけませんので、即、改善行動に結びつくと思うんですよ。

ここで、今回はオブザーバーとして、側面から研修をフォローされた長谷川光彦総務部長に、お話を伺います。

─ 2日間、外からご覧になった研修の感想をお願いします。

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通しで見て感じたのは、ただワークが多いというだけでなく、研修プログラムの構成がしっかりしていることでした。

1日目に皆から言われたことを、2日目の改善活動にどんどん落としていく。それがなければ、なかなか最後の『宣言』にまで到らなかったと思います。流れとして、最後の宣言が出やすいように組み立てられていましたね。

─ 研修後、1週間が経ちました。参加された皆さんの社内での様子はいかがですか?

ポジティブに変わりつつある兆しが見え始めています。

特に、当社の場合、個々の営業マンが工場や技術職と連携を取って仕事を進めているため、その営業マンの働きが組織成長のカギとなっています。部下への影響力も大きい部長職の意識改革が進めば、当然、社の志気も高まります。

当社の社員は、社会貢献をしていくという意識が非常に高いんです。それだけに営業マンとしても、もうひとつ脱皮しようという思いがあったと思います。そういう意味でも、今回の研修は非常によい機会であったと思います。

受講メンバーからのアンケート評価

─ 受講生からのアンケート評価はいかがでしたか。

非常に好評でした。次にご紹介するのは実際のアンケートです。

  • 周りの人から思われている自分と、自分の思っている自分に大きな開きがある事を気づかされました。大変、興味深い結果でした。
    周りからほめられる事がないので、改めてほめられると恥ずかしいが嫌な気にはなりません。部下もたくさんほめてあげるようにしたいと思います。
  • 講師である西野さんの大阪弁が、場をなごませて、本当は悪いムードになりそうな時、たすかりました。ひさしぶりに本音で討論ができました。
  • ○具体的事例におとして説明する形式が、自分自身の日頃の考え方の詰めの甘さが露呈されて、自分自身を考え直す、良い機会となりました。
    ○社長以下、このような方々との交流の場が実は少なく、意見交換、情報収集の貴重な場となりました。

この研修は、本質を追究するコミュニケーションを大事にする会社に向く

─ この研修に向く会社は、どんな会社だと思いますか。

上下関係のコミュニケーションがあまりうまくいってない組織でしょう。

コミュニケーションというのは、できているようで、できてない。そういうことは、どこでもあると思います。
しかし、ことを荒立てないよう、何とか表面上はうまくおさまるコミュニケーションでよしとするなら、こういう研修を受ける必要はないでしょう。
根っこはなに?、本質はなに? をとことん追究し、次のステップアップにつなげるためのコミュニケーションを大事にしていく会社に、この研修は向くと思います。

(長谷川)それから、多忙をきわめるような会社にも向くと思いますね。

当社の場合もかなり忙しい状況で、一人何役も務めています。
すると、業務上の必要最低限の指示や連絡はするものの、どうしてもじっくり肚を割って話す機会が持てません。
ですから、もっとじっくり話す必要があると感じている会社では、こういう研修をやるといいのではないかと思います。

今後の期待

─ 最後に、マーキュリッチへの今後の期待をお聞かせください。

現在はまだ営業職しかやってないので、これを各部門にも広げていきたいと考えています。
また、レビューとして1年後くらいに、今回と同じメンバーがやるのがいいかもしれません。1年経って、ちゃんとできているかどうかの確認をするのです。自分で宣言したことができていないと恥ずかしいですよね。あるいは、レベルを次のステップに上げても良いでしょう。

企業では人づくりが大事です。
どのような状況下におかれても、絶対に満足してはいません。会社を成長させるためには人の成長が必須条件ですから。

“うまく人の力を引き出し、成長させるこの研修には期待しています。必要を感じた時には、また是非、活用させていただきたいと考えています。

― 日本リファイン様、本日は貴重なお話、ありがとうございました。

*日本リファイン株式会社のwebサイト
*取材日時 2009年7月