
あおぞら銀行様の法人営業部門では、2025年4月より半年以上をかけて教育体系の再構築に取り組まれました。当社の西野浩輝は、コンサルタントとしてこのプロジェクトに関わりました。従来の教育体系に対して感じていた課題や、プロジェクトをどのように進めたか、マーキュリッチのコンサルティングへの評価などについて、法人営業統括部長の平田晶丈様、法人営業統括部共同部長の山口雅史様、あおぞら地域総研取締役社長の川畠慎也様にお話を伺いました。
初期段階から本質的な課題に踏み込んで議論ができると考え、西野さんに声をかけた
あおぞら銀行様の法人営業部門では、このたび教育体系の再構築に取り組まれました。マーキュリッチの西野は2025年4月下旬より11月中旬まで、このプロジェクトにコンサルタントとして関わることになりました
平田様 法人営業部門が教育体系の再構築に着手したのは、2025年4月に新中期経営計画「AOZORA2027」の内容が示されたことが契機となりました。当行では「新たな金融の付加価値を創造し、社会の発展に貢献する。」をミッションに掲げていますが、今回の中計では、「付加価値の創造につながる人的資本投資の重要性」が強く打ち出されていました。
これを受けて、人事担当役員や法人営業に関わる担当役員のあいだで議論になったのが、「現行の法人営業部門の教育体系は、付加価値を創造する人材の育成に資するものになっているのか」ということでした。そこで私たちに教育体系の見直しと再構築を行うように指示が出されたのです。人事部に加え、法人営業本部の中でも、事業法人を担当している私と、金融法人を担当している山口、そしてあおぞら地域総研でチームを組んでプロジェクトをスタートさせることにしました。

当行で実施している研修は、人事部による階層別研修や業務本部による専門研修など多岐にわたっています。体系的に整理されていないために、それぞれの研修の連動性や全体像が把握しづらくなっていたのが課題でした。プロジェクトでは、これらを整理したうえで、再構築を行っていくことになりました。
また、より具体的な課題としては、研修を実施した際に、必ずしも意欲的ではない姿勢で臨む行員も少なからずいる状況を何とか改善したいという思いもありました。そのためには単に教育体系をきれいに整理するだけでなく、能力開発に対する行員一人ひとりの主体性を引き出す仕組みが必要になってくるだろうと考えていました。
プロジェクトを進めていくうえで大きな懸念事項となったのが、スケジュールが非常にタイトであるということでした。6月末には再構築案を策定することが求められていたのです。限られた時間の中で成果を出すには、外部の力をお借りする必要があるだろうと判断し、西野さんにお声がけすることにしました。
山口様 今回、外部の方に加わっていただくことにしたのは、内部だけだと利害関係や思い込みに囚われ、新しい発想が出にくいこともありました。組織論的な制約から「そうは言っても難しいのでは?」とあきらめてしまいがちなところを、外部の視点から方向性を示していただくことを期待しました。
なぜ西野だったのか?
平田様 西野さんには前年度の10月から3月にかけて、事業法人部門の営業職を対象に「組織的営業力強化研修」を実施いただいていました。このとき西野さんは、当行のビジネスの特徴や、営業担当者の現状・課題などを深く理解したうえで研修に臨んでくださいました。ですから西野さんとであれば、すぐに本質的な議論や検討に入っていけるだろうと判断しました。
インタビューによって現場の実態を洗い出す
プロジェクトは、どのように進めていかれたのでしょうか
平田様 まず西野さんから指摘されたのは、「ミッション・ビジョン・アクション→経営戦略→人材戦略→研修」の4層構造の中で、研修を捉える必要があるということでした。「ミッション・ビジョン・アクション」を実現するために「経営戦略」があり、その「経営戦略」を遂行するうえで、どういう人材が必要なのかを定めるのが「人材戦略」です。そして会社として求める人材を育てる手段として「研修」が行われます。この「ミッション・ビジョン・アクション」から「人材戦略」「研修」までのつながりが明確でないと、研修を実施する側も受講する側も、その研修の意味や目的が見えにくくなります。
そこで教育体系の再構築にあたっては、まずは人材戦略における「求める人材像」を明確にする必要があるということになりました。当行ではすでに人事部が「求める人材像」としてコンピテンシーモデルを作成していましたが、全行員を対象とした汎用的なものだったため、法人営業の現場で求められる人材像としてはやや抽象的でした。そこで法人営業に特化したコンピテンシーモデルを作成することにしました。
並行して、西野さんに管理職と営業担当者へのインタビューを実施していただくことになりました。営業担当者が能力開発についてどんな意識を持っているか、既存の制度がどう運用されているかなど、現場の実態を把握するためです。またインタビューでは作成中の法人営業版コンピテンシーモデルを示し、現場の感覚に合っているかについての意見や感想を聞きました。

山口様 インタビューは私たちが同席すると本音が出にくいだろうということで、西野さんと対象者の一対一で実施しました。西野さんの希望により、当初の予定より人数を増やして最終的に15名程度に行いました。西野さんのインタビュースキルとオープンマインドなお人柄もあって、かなり本音にまで踏み込んだ話を聞き出すことができました。
営業担当者が自身の将来のキャリアを思い描ける機会を設定
インタビューの結果、明らかになったことについて教えてください
川畠様 3年後、5年後、10年後に自分はどうなっていたいのか、将来像を明確に描けていない営業担当者が多く見受けられるということでした。そうすると研修についても、自分の将来にどう役立つのかがわかりませんから、前向きな姿勢で受講しづらいのは当然のことといえます。私たちが課題として感じていた研修受講者の参加意欲の今一つの物足りなさは、行員一人ひとりのキャリアの将来像が描きづらいことも原因のひとつににあったわけです。
平田様 このインタビュー結果によって、私たちがやるべきことが見えてきました。法人営業版コンピテンシーモデルによって求める人材像を示す一方で、一人ひとりの営業担当者が自分のキャリアプランをありありと描ける機会を設定する必要があるということです。そして営業担当者が将来に向けて必要なスキルを学んでいこうとしたときには、どんな研修があるのか、研修マップとして整備する必要もあるということです。
このうち営業担当者が自身のキャリアを描く機会については、これまで設定されてこなかったわけではありません。当行では年1回、部下が書いたキャリアプランシートをもとに、上司が部下から今後のキャリアプランについて話を聞くキャリア面談の機会が設けられています。しかし実際の運用を見ると、本来必要なキャリア開発の場にはなっていませんでした。
そこで部下が上司との対話の中で、「5年後、10年後にどんな自分になっていたいのか」「どんな価値を届けられる存在を目指すのか」を言語化し、そこに至るまでに必要な能力や行動を明らかにしていく「フューチャーミーティング」を新たに実施することにし、その制度設計に取り組むことにしました。
フューチャーミーティングを実効性のあるものにするためには、メンバーと上司の双方が、フューチャーミーティングの意義や内容、進め方などについて理解しておくことが不可欠になります。また上司には、部下から将来に対する思いを引き出す力が求められます。
そのため6月末に答申を行ったうえで、7月からは西野さんに管理職・営業担当者向けの「フューチャーミーティングガイド」の作成や、10月から11月にかけてはフューチャーミーティング制度の定着に向けた研修を実施していただきました。いわば西野さんには課題の整理から制度の実装まで、すべてのフェーズに関わっていただいたわけです。
山口様 正直、プロジェクトがスタートした時点では、ここまで到達できるとは思っていませんでした。西野さんがインタビューを通じて、営業担当者の現状を洗い出してくださったこと、そして浮かび上がってきた課題を整理して、根本的な原因と対処法を示してくださったことが大きかったと思います。もし我々だけでプロジェクトを進めていたら、研修マップを作成することはできていたでしょうが、そこから先の打ち手が見えず、困難な状況に追い込まれていたかもしれません。
組織課題解決のパートナーとして真剣に課題に向き合ってくれた
教育体系の再構築に関する現在の状況について教えてください

川畠様 10月から11月にかけて実施したフューチャーミーティング研修を踏まえ、現在は実際にフューチャーミーティングを実施している最中です。上司と部下の対話が本当にうまくいくのか、円滑な対話を阻害する要因があるならどのような対策を講じればよいのかという実践フェーズに応じた具体的なアクションが求められる段階になっていると思います。
フューチャーミーティング制度が本当に機能するかどうかは、上司となる管理職の意識の変化も鍵になると感じています。上司がこの制度の意義と重要性を理解し、部下に対して聞く姿勢を示さないと、部下は心を開いて将来への思いを語ってくれませんからね。そこは我々年次の高い世代として意識を変える取り組みが必要になってくると思います。
平田様 今話があったように、フューチャーミーティング制度は改善すべき点があれば改善する必要がありますし、場合によっては抜本的な見直しもあり得るでしょう。逆に効果があると判断できれば、現在は法人部門のみで導入しているフューチャーミーティング制度を、他の部門にも展開していくことを検討しなければなりません。
川畠様 法人営業部門内のフューチャーミーティングの改善とともに、この考え方や取り組みを銀行全体でどのように捉えるか、という視点で考えていかねば、本質的な意味での人材育成体系は完成しません。例えば、今回法人営業に関係する研修マップを作製しましたが、銀行全体の制度やカリキュラムを整理し、より体系だったものにすることも求められると考えています。その意味で今回のプロジェクトは、より大きな改革に向けた一つのきっかけであると捉えています。
最後にコンサルタントとしての西野に対する評価や、西野と一緒にプロジェクトを進めていく際に意識されていたことがありましたら教えてください
山口様 西野さんはプロジェクトの最初から最後まで、当行の組織課題を深く理解し、課題解決に向けて真剣に取り組む姿勢を貫いてくださいました。その姿勢に対して、私たちもしっかりと応えることが重要だと考えていました。
例えば、「インタビューの人数を増やしたい」という要望が西野さんからあったときには、可能な限り対応するようにしました。また密にコミュニケーションを取り続け、議論を重ねていきました。この相互のやり取りを通じて、西野さんも当行の状況や課題をより深く理解してくださり、質の高い成果に結びつきました。そうしたスタイルでのコンサルティングを望んでいる企業にとっては、西野さんは非常に良いパートナーになると思います。
平田様 マーキュリッチさんや西野さんには、研修とコンサルティングをセットで依頼することも実はお勧めです。
最初にも話しましたように、西野さんには前年度に研修を実施していただいていました。そこで当行の法人営業部門について深く理解いただいたうえで、コンサルティングに入ってもらいました。この流れが非常に効果的だったと感じています。もし短期間でコンサルティングだけを依頼していたら、ここまで深い解決策を提示してくださるところには到達できなかったかもしれません。もちろん最初に研修を依頼した段階では、コンサルティングをお願いすることなど想定していませんでしたが、結果として最良の選択だったと感じています。
本日は貴重なお話を伺うことができました。ありがとうございました
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※取材日時 2025年5月
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