from 西野浩輝

今、私がオンライン研修を実施する際に、クライアントに盛んにお勧めしていることがあります。

それは、研修日の数週前のどこかの日時でオンライン上で受講者に集まってもらい、意識付けと交流を行う30分~45分程度の「オリエンテーション」を行うことです。

以前ご紹介した「オンライン研修を成功に導く13のポイント」の動画のポイント6【「事前セッション」を最大限、有効活用する】の中でも触れていますが、最近数社でこの取り組みを実施いただき、その効果の大きさを改めて実感しています。

オリエンテーションが効果的な理由

では、なぜ効果的なのでしょうか?

一言で言うと、「オンラインならでは」の多くの問題を解決することができるから。

そもそもオンライン研修の大きな問題の1つは、よほど講師からの適切な働きかけがないと、受講者が冷めた感じで傍観者的に参加しがちになること。

それが故に、なかなか100%の本気度でコミットする状態になりにくい。

これでは、コミュニケーションが活性化しづらく、参加型研修の醍醐味である「シナジー」が最大化せず、リアル(対面)研修ほど効果が生じない。

おそらく多くの研修担当者の方が感じている課題の1つでしょう。

だから、「オリエンテーション」なのです。

この仕掛けを上手く行うことで、企画・実施側の本気度が伝わり、それが受講者の本気に火をつけ、コミットを引き出すことができます。

「受講者の本気モードを引き出す」オリエンテーションにぜひ入れたいものは以下の3つ。

① 上位層からの熱い期待を伝える

通常の研修では、上位層の人に「この研修の重要性」や「受講者にとってのメリット」などを話してもらいますが、オンラインだからこそ意識して欲しいことがあります。

それは、「この研修を大成功に導くのは、受講者の皆さんの双肩にかかっている」という期待と要望をしっかりと伝えることです。

そうすることで、受け身&傍観者意識を排除し、「自分たちの力でよい研修を作っていこう」という気にさせるわけです。

詳しくは、 「オンライン研修を成功に導く13のポイント」の動画、ポイント9「研修スタート時の挨拶にエネルギーを注ぐ」でも述べているので、ぜひ見てみてください。

そしてなにより大事なのは、上位層の方に「MAXの熱さ」で語ってもらうようにお願いすること。

ほとばしる熱量によって、受講者の心をホットにすることがオンライン研修成功の鍵なのですから。

② 講師からの熱い期待を伝える

受講者の本気スイッチを入れるための、もう一人のキーパーソンは当然ながら講師です。

社内の人とはまた別の立場、別の視点で期待を熱く語ることで、受講者のハートを揺さぶることができます。

ちなみに、私がこの役割を担う時は、できる限り2wayで行うようにしています。

受講者と対話することを通じて、繋がりができるとともに、彼らの期待感や課題感を掴むことができます。

そうすることで、よりフィットする研修内容にチューニングすることも可能になるからです。

③ 受講者同士による抱負を語り合う

研修においてシナジーを最大化するためには、受講者同士の対話も必須です。

その際、互いの抱負を言うことで触発しあい、「熱」を作り出します。

このように研修前から場の空気を温め、コミュニケーションが活性化するように導くことで、研修当日のロケットスタートを実現できます。

また、この「受講者同士のコミュニケーション」には、プラスアルファの効果もあります。

それは受講者のデバイスやネット環境の確認にもなること。

オンラインの懸念点の1つである「当日の想定外のトラブル」の回避にも一役買ってくれます。

オリエンテーションを上手く使って研修効果を高める

戦略的に「オリエンテーション」を組み込むことで、事前に受講者の本気に火が付くと、事前課題の取り組みの真剣度も上がります。

しっかりとした事前準備が、当日の研修効果をさらに大きくしてくれるのは疑いの余地がないでしょう。

これだけの効果が見込めるのだから、私がお薦めするのも納得してもらえたのではないでしょうか?

しかもオンラインの場合、物理的に集まらなくていいので、リアルより断然やりやすいはずです。

この強みを戦略的に活用することで、オンライン研修の効果を高めて行けることでしょう。

ぜひ参考にしていただければと思います。

西野浩輝写真マーキュリッチ代表取締役
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。
西野著書写真

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