from 西野浩輝

マーキュリッチのホームページでアクセス数1位の記事は…

当社のコラムは多くの方にご覧いただいているのですが、そこで少し驚きの現象が起きています。

それは、2016年12月にホームページにアップしたある記事がずっとアクセス数1位なのです。実に3年近くもトップの座を維持しています。

その記事がコチラ 「研修スタート時の挨拶で研修効果の後押しをする3つのポイント」

このことからも、「研修スタート時の挨拶プレゼン」が多くの人材育成担当の方にとって興味があるテーマであり、難しさも感じていることが伺えます。

その点を踏まえ、今日は上記の記事とは別の観点で「成功する開講プレゼンテーション」の秘訣をお伝えします。

ストーリーは「G-PDCA-G」で語れ

開講時のプレゼンテーションにはいろんな切り口がありますが、鉄板の1つは「ストーリーで語ること」です。

ただ、ストーリーといっても映画やTVドラマのように劇的に語れと言っているのではありません

ビジネスシーンにおいて、ふさわしいフォーマットがあります。

それは、我々マーキュリッチが提唱している「G-PDCA-G」のストーリーラインで語ること。

では、「G-PDCA-G」とは何かを簡単に示しましょう。

  • G = 目指すゴールを提示する(Goal)
  • P = 今の問題を描く(Problem)
  • D = 問題を深堀する(Digging)
  • C = 解決コンセプトを示す(Concept)
  • A = 取るべき具体的アクションを提示する(Action)
  • G = 長期の壮大なゴールを描く(big Goal)

実は先日、あるグローバル企業の開発部門のトップの方が、まさにこの流れに沿って開講プレゼンをされたのです。

3~4分のプレゼンテーションだったのですが、受講者がどんどん前のめりになっていくのを目の当たりにしました。

【実例】受講者を引き込み、やる気にさせた挨拶

では、その方はどのような内容を語っていたのか?

「G-PDCA-G」の流れに沿いつつ、以下に要約してお伝えします。

まず以下のように、ゴール(G)を明確に示しました。

「我々が目指すべきゴールは、自社内における日本支社のポジションを上げることだ。そのためには日本のスタッフがメインになって、国・地域をまたがったプロジェクトをリードしていく必要がある。」

その上で、現状の問題(P)を痛みと共に描写しています。

「ただし現状は、残念ながらプロジェクトマネジャーが思うように育っていない。それがゆえに、他拠点に主導権を握られてしまっており、こちらには開発の決定権も予算も回ってこない。この状況は何とか打開しないといけない」

次に、問題の深堀(D)をし、この研修の位置づけと重要性を語りました。

「では、なぜ日本に優れたプロジェクトマネジャーが出現していないのか?原因は大きく3つあると私は考えている。1つは、社員のプロジェクトマネジメントの知識不足。もう1つは、会社として若手を抜擢し、育成する体制が不十分なこと。最後がプレゼンテーション力不足によるグローバルへのアピールが弱いこと。そしてその中で、まだ手を付けられていないのが、3つめのプレゼンテーション力強化であり、だからこのプレゼン研修を企画した」

その上で、解決コンセプト(C)を提示しました。

「今回、ポテンシャルの高い若手の皆さんを選抜した。プレゼンテーション力を高めて、優れたプロジェクトマネジャーにステップアップしてほしい」

それを踏まえ、期待したいアクション(A)を伝えます。

「この2日間、全力でコミットすることで、大きく成長することはもちろん、職場に戻って、この研修で得た成果を披露し、職場全体に展開してほしい」

最後に、壮大なゴール(big G)を熱く語ることで締めました。

「そうやって、日本のポジションを高めていくことで、また以前のように日本が世界をリードする時代を作っていける。君たちの双肩に未来がかかっているんだ」

私は現場にいて、受講者の表情がどんどん引き締まっていくのを目の当たりにしました。

当然ながら、斜に構えている受講者はただの1人もおらず、エンジン全開で研修に入っていけたことは言うまでもありません。

この例からもわかるように「G-PDCA-G」はロジックを1つ1つ丁寧に追いつつ、聞き手の感情にも訴求できる、パワフルなフォーマットなのです。

いかがでしょう?

「G-PDCA-G」の使い方がイメージできたでしょうか?

ぜひ開講プレゼンテーションに活用いただくと、その効果を実感いただけると思います。

西野浩輝写真マーキュリッチ代表取締役
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。
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