意外と大事!研修スタート時の挨拶 3つのポイント

from 西野浩輝

開講の挨拶で研修スタート時の空気感が決まる

企業において人材教育を担当している方であれば、研修が始まる際の開講の挨拶を任される機会は少なくないと思います。

なかなか難しい局面ですよね?

もちろん誰もが「良い挨拶がしたい」と思っているはず。

でも、何をどんなふうに話せばいいのかを悩んでしまう方は多いのではないでしょうか。

言うまでもなく、開講前の挨拶は研修のティーアップとして大切な役割を担っています。

開講の挨拶の良し悪し1つで、研修スタート時の空気感がガラッと変わってくるからです。

私が企業研修を行うとき、ほとんどのケースで研修担当者がご挨拶されます。

その際、研修の位置づけや目的、重要性をきちんと伝えてくださると、受講者の姿勢が明らかに変わってきます。

また私自身も、研修の目的や位置づけを再確認できます。

講師である私も、受講者のみなさんも、研修の目的やゴールをお互いに共有化したうえで、緊張感のある引き締まった雰囲気で研修を始めることができるのです。

それとは逆に事務連絡のみで終わったり、その日の研修テーマと何の関係もないことを長々と語ったり、話が拡散してポイントがわかりにくい挨拶になったりすると、あまり効果のない無駄な時間になってしまいます。

では具体的にどんな挨拶をするのがふさわしいのでしょうか。

キーワードは3つです。

1.位置づけ 2.メリット 3.実例

では1つ1つ具体的にお伝えしていきましょう。

ポイント1:研修の位置づけを受講者に伝える

まず1点目は、その研修の位置づけやねらいを、会社や部署の経営課題を踏まえながら話すようにすること。

たとえば以下のように。

「これまで我が社の営業活動はルートセールスを中心に行っていましたが、売上高は年々低下傾向にあり、顧客の新規開拓が急務になっています。みなさんにはぜひ今回の研修を通じて、当社の商品の価値をお客様に伝えられるプレゼントーク力を身につけてほしい。当社の未来はみなさんの双肩にかかっています」

「テレワーク、リモートワークが進む中で、今マネジメントのあり方もやり方も大きく変えることが急務になっています。ぜひこのマネジメント研修という機会を活用して、新しい環境に相応しいマインドとスキルを身につけてください。明日からすぐに使える手法も満載だと思います」

「皆さんご存じのように、先日発信された当社の新たな方針の1つが『他社とのコラボによる新しい事業機会の創出』です。その実現のためには、我々は新しいスキルを身につけないといけません。今回の『Win-win交渉力研修』はその一環です。ぜひ今後の成果に繋げるために、たくさん学び、実践に生かしていただければと思います」

このように受講者に対する期待感を込めて、研修の目的や身につけてほしいスキルを話すと、受講者は高い意識を持って研修に臨むようになります。

ポイント2:受講者にとってメリットのある研修である事を伝える

2点目は、その研修を受ける本人にとってのメリットを伝えること。

たとえばプレゼン研修を例にとると、「自分は今の仕事ではプレゼンをする機会なんてないから、こんな研修を受けても意味がない」と思っている人が、受講者の中にいることが想定されたとします。

そんな場合には、

「仕事の進捗状況を上司に報告するときや、お客さんを相手に商品の説明をするとき、会議で発言をするときなどは、すべてプレゼンだと言えます。プレゼン力がつくと、さまざまな場面で自分の意見や考え方が相手に伝わりやすくなり、仕事がより円滑に進むようになります。」

といった話をすることで、受講者のプレゼンに対する概念を広げさせ、「そういう意味では自分にとってもこの研修は大事なんだ。役に立つんだ」ということを実感させることができます。

また

「1年後や2年後、みなさんが○○と言ったポストに就くことも十分あり得ます。その際に、プレゼン力があると無いで、成果に大きな差が出ます。今からスキルを磨いておくことで、その状況になったときにも安心です」

といったように、将来を見せてあげることで、受講者のやる気を高めることができるでしょう。

上記とは少し違う角度での受講者へのメリット感をこんな風に表現している担当者もいます。

「本来なら、担当いただく○○講師は、主にマネジャー層や経営層を指導するくらいの方です。ですが、今回特別にお願いして、若手の皆さんに指導いただくことになりました。極めて貴重なこの機会を活用してたくさん吸収して帰ってください」

これらを参考に、受講者へのメリットトークを状況に応じてカスタマイズしてプレゼンテーションいただければと思います。

ポイント3:過去の受講者で成果が出た実例を伝える

3点目は、過去の受講者の中で、この研修で学んだことを仕事に生かし、成果を出している人や組織の実例を話すこと。

「昨年受講した社員の中には、研修で学んだプレゼンの型をしっかりと習得したことで、営業成績を2倍に伸ばした人がいます 」

「過去受講したある方は、当研修で学んだことを職場のメンバーに発表し、共有しました。それをチームみんなで活用することで会議が活性化し、アイデアの質も量も格段に上がったそうです」

といった風に具体的に話すことで、より説得力が増します。

ここで、ご自身の実例を話すのも効果的です。

「私自身も以前この研修を受講しました。(自分のノートを見せながら)こんな風に自分のノートを工夫することで、ミスが減るだけでなく、生産性も格段に上がったと思います。そういう意味で、すぐに役立てていただける実践的な研修だと実感しています」

こういった実例を話せるよう、日々情報収集するとともに、メモに書き留めておくと、大変有用です。

研修時挨拶での締め方と話し方のコツ

最後に、挨拶の締め方や話し方、時間配分のコツについても説明しておきましょう。

締め方は、一言でいうと『積極的参加を受講者に呼びかける』

具体的には、以下のようなトークです。

「この研修は参加型ワークショップの形式で進められます。ぜひ積極的、能動的な働きかけによって、ご自身のみならず、周囲の方々へも貢献いただければ嬉しく思います。より素晴らしい研修になるよう、みなさんのご協力をよろしくお願い致します」

話し方に関しては、あまり偉そうな態度で話すと受講者から反感を持たれてしまう反面、自信なさげに話すと、信頼感が得られなくなります。

したがって、丁寧かつ自信を感じさせる話し方を意識するようにしてください。話す時間は、2~3分程度を目安にしておくとよいでしょう。

良い挨拶をするためには、当然事前の仕込みが不可欠となります。

重要な会議の場面でプレゼンをするときと同じような気持ちで、準備とリハーサルをしっかりと行うようにしてください。

物事は何でも滑り出しが大事です。それは研修も同じ。

1.位置づけ 2.メリット 3.実例

の3つの観点を意識してスタート時の挨拶を行ってみてください。

みなさんの素晴らしいプレゼンテーションが、研修自体の効果を大きく高めるでしょう。

より伝える力を身につけたい人は、こちらの記事も参考にしてください。

西野浩輝写真マーキュリッチ代表取締役
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。
西野著書写真

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