
開講の挨拶で研修スタート時の空気感が決まる
企業において人材教育を担当している方であれば、研修が始まる際の開講の挨拶を任される機会は少なくないと思います。
なかなか難しい局面ですよね?
もちろん誰もが「良い挨拶がしたい」と思っているはず。
でも、何をどんなふうに話せばいいのかを悩んでしまう方は多いのではないでしょうか。
言うまでもなく、開講前の挨拶は研修のティーアップとして大切な役割を担っています。
開講の挨拶の良し悪し1つで、研修スタート時の空気感がガラッと変わってくるからです。
私が企業研修を行うとき、ほとんどのケースで研修担当者がご挨拶されます。
その際、研修の位置づけや目的、重要性をきちんと伝えてくださると、受講者の姿勢が明らかに変わってきます。
また私自身も、研修の目的や位置づけを再確認できます。
講師である私も、受講者のみなさんも、研修の目的やゴールをお互いに共有化したうえで、緊張感のある引き締まった雰囲気で研修を始めることができるのです。
それとは逆に事務連絡のみで終わったり、その日の研修テーマと何の関係もないことを長々と語ったり、話が拡散してポイントがわかりにくい挨拶になったりすると、あまり効果のない無駄な時間になってしまいます。
では具体的にどんな挨拶をするのがふさわしいのでしょうか。
キーワードは3つです。
では1つ1つ具体的にお伝えしていきましょう。
ポイント1:研修の位置づけを受講者に伝える
まず1点目は、その研修の位置づけやねらいを、会社の経営課題を踏まえながら話すようにすること。
「これまで我が社の営業活動はルートセールスを中心に行っていましたが、売上高は年々低下傾向にあり、顧客の新規開拓が急務になっています。みなさんにはぜひ今回の研修を通じて、当社の商品の価値をお客様に伝えられるプレゼントーク力を身につけてほしい。当社の未来はみなさんの双肩にかかっています」
といったように、受講者に対する期待感を込めて、研修の目的や身につけてほしいスキルを話すと、受講者は高い意識を持って研修に臨むようになります。
ポイント2:受講者にとってメリットのある研修である事を伝える
2点目は、その研修を受ける本人にとってのメリットを伝えること。
たとえばプレゼン研修を例にとると、「自分は今の仕事ではプレゼンをする機会なんてないから、こんな研修を受けても意味がない」と思っている人が、受講者の中にいることが想定されたとします。
そんな場合には、
「仕事の進捗状況を上司に報告するときや、お客さんを相手に商品の説明をするとき、会議で発言をするときなどは、すべてプレゼンだと言えます。プレゼン力がつくと、さまざまな場面で自分の意見や考え方が相手に伝わりやすくなります」
といった話をすることで、受講者のプレゼンに対する概念を広げさせます。
それによって受講者に「自分にとってもこの研修は大事なんだ。役に立つんだ」ということを実感させるのです。
また
「1年後や2年後、みなさんがこういうポストに就いたときには、プレゼン力が必須となります」
といったように、将来を見せてあげることも有効でしょう。
ポイント3:過去の受講者で成果がでた実例を伝える
3点目は、過去の受講者の中で、この研修で学んだことを仕事に生かし、成果を出している人の実例を話すこと。
「昨年受講した社員の中には、研修で学んだプレゼンの型をしっかりと習得したことで、営業成績を2倍に伸ばした方がいます」
というように、実例を挙げながら話すと、よりメリットが実感しやすくなります。
最後に、挨拶するときの話し方や時間配分のコツについても説明しておきましょう。
挨拶をするときには、あまり偉そうな態度で話すと受講者から反感を持たれますが、かといって自信なさげに話すと、今度は信頼感が得られなくなります。
話し方は丁寧に、かつ自信を感じさせる話し方を意識するようにしてください。また話す時間は、3分程度を目安にしておくとよいでしょう。
良い挨拶をするためには、当然事前の仕込みが不可欠となります。
重要な会議の場面でプレゼンをするときと同じような気持ちで、準備とリハーサルをしっかりと行うようにしてください。
物事は何でも滑り出しが大事です。それは研修も同じ。
の3つの観点を意識してスタート時の挨拶を行ってみてください。
みなさんの素晴らしいプレゼンテーションが、研修自体を素晴らしいものにします。

西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。
