
株式会社ジーエスエフ様は、学校給食における調理業務の委託運営を担っている会社です。同社では営業職を対象に「受講したい研修」についてアンケートを実施したところ、ヒアリング研修が多数を占めたため、2025年2月にアクティブヒアリング研修を実施しました。
同社の営業職のみなさまがヒアリング研修を希望した背景や、マーキュリッチが提供した研修内容について、全国学校開発部部長の米田英正様、開発部関東担当の丸山孝生様、全国学校給食開発部担当部長の見山寛美様、同部飛田美咲様にお話を伺いました。
多くの社員がヒアリングのやり方に悩んでいた
- ジーエスエフ様では、2025年2月に営業職を対象にアクティブヒアリング研修を実施されました。研修実施の経緯を教えてください。

見山様 当社では昨年度、営業職のスキル向上を目的として、年間3回の研修を計画しました。そのうち2回は社内で実施することにしたのですが、3回目は外部研修を導入することになりました。そこで社員に「どのような研修を希望するか」についてのアンケートを実施したところ、多くの社員が望んだのがヒアリング研修でした。そこで社員の要望を反映してヒアリング研修を実施することにしたのです。
丸山様 営業職の社員ですから、私たちとしては当初は「プレゼンテーション研修を希望する社員が多いのではないか」と予想していました。ですから想定外ではあったのですが、一方で改めて考えますと、多くの社員がヒアリングに課題を感じているのはうなづける結果でもありました。
ー といいますと?

米田様 当社は、学校給食における調理業務を委託で行っている会社です。委託契約は3年から5年と期間が決まっているため、必ずプロポーザルの機会があります。そこで他社に優る提案を行うためには、事前のヒアリングによる深い情報収集が不可欠となります。
営業先は給食センターの担当者の方々で、飛び込み営業が中心となります。アポイントを取らずに給食センターに伺うのですが、担当者の方も営業訪問には慣れていらっしゃって、自然に受け入れてくださいます。
ただ、そこでの会話時間は非常に短くなることがほとんどです。1回目の訪問では会社案内をして終わりということが多いのですが、問題は2回目、3回目です。最初の訪問で相手のニーズや課題を十分に聞き出せていないと、次回訪問時により深い話題を先方に提供することができず、先方からもより有益な情報を引き出すことができなくなります。当社の営業職は20代が多いのですが、特に若手の中に「次回訪問に結びつけられるヒアリングをどのように行えばいいか」に悩んでいる社員が多く見受けられたのです。
そういう意味で今回アクティブヒアリング研修を実施したのは、社員の要望に応えたというだけではなく、当社の営業課題を解決していくうえでも非常に有益だったと思います。
受講者のリアルな課題の解決に直結する研修をしてくれた
― 研修会社の選定は、どのように行われましたか?
見山様 4社の研修会社と面談を実施しました。その中でマーキュリッチさんを選んだ理由として、「当社の課題に真剣に向き合おうとしてくれたこと」がありました。
面談では、今回研修講師を務めた西野さんが初回から直接参加され、当社の事業内容や営業活動の特徴について詳細にヒアリングを実施してくださいました。飛び込み営業が中心である点、ヒアリング時間が5分程度と短い点、営業担当者の多くが20代である点など、当社特有の状況や課題を十分に理解したうえで、研修内容を提案いただけたことが決め手となりました。西野さんは言語化がとても上手で、研修前の打合せの時点でもこちらが話したことに「それはこういうことですか?」とまとめてくださって、「その通りです」とこちらの課題感をわかってくれようという姿勢とともに印象に残りました。
少し話は脱線しますが、面談時の西野さんの発言の中で印象に残ったのが、「研修は、オブザーバーとして参加する管理職にとってもよい学習機会になる」という言葉です。確かにオブザーバーとして参加することによって、社員のヒアリング力に対する課題点や改善点が見えてきます。またプロの講師がどのようにフィードバックを行うのかや、どのような視点で受講者を観察し気づきを与えるのかを学ぶことで、管理職自身の日常の指導スキル向上にもつながります。私たちも高い意識を持って研修本番に臨むことができました。
― 研修はどのように進められたのでしょうか。

飛田様 受講者には、研修本番前に事前課題を提出することが求められました。宿題の内容は「営業現場でお客様にヒアリングをする際に課題に感じていることを書き出す」というものでした。
実は私も受講者の1人として研修に参加しており、私自身は「ヒアリングの途中で、お互いに沈黙が生じることに不安を感じる」と書きました。一方、今回参加した19名の受講者のうち3名はマネージャー層だったのですが、マネージャーからは「部下との同行営業の際に、自分ばかりがお客様に質問をしてしまうために、部下に経験を積ませることができない」という課題が挙がってきました。
こうした受講者から出てきた課題に対して、西野さんは専用資料を作成したうえで、本番に臨んでくださいました。そして受講者の課題に1つ1つアドバイスをしてくれたのです。私の課題に対するアドバイスは、「沈黙は相手に考えさせる時間を与えているわけだから恐れる必要はない」というものでした。確かに自分がヒアリングされる立場だとしたら、立て続けに聞かれるよりも間を空けてくれたほうが、考えを整理しながら話すことができます。よい気づきになり、当日はメモをたくさん取りました。
研修は、「講義」と「ロールプレイ」の組み合わせで行われました。ロールプレイでは、自分がヒアリングをしている様子を動画撮影して、後で確認するという時間もありました。自分がどのような表情で話しているか、どんな話し方をしているかを客観視することができ、普段は見ることのできない自分の姿を確認できたのが非常に有益でした。ほかの受講者のロールプレイを見る機会も貴重で、「こうやって話すのか」「こういうアプローチもあるんだ」という新たな発見がありました。
― 研修で学んだ具体的な内容についてもう少し教えてください。
飛田様 研修では、まず事前の仮説構築の重要性を教えていただきました。訪問前に自治体のホームページなどで情報収集を行い、「この給食センターはこのような課題を抱えているのではないか」という仮説を立ててからヒアリングに臨む。そうすることで限られた時間の中でもより深いヒアリングができることを学びました。

丸山様 話しやすい質問から始めて、徐々に深い質問に移行していく質問の順番や、すぐに答えられる質問と相手に考えさせる時間を織り交ぜるといった質問の使い分けについての話も印象的でした。相手が話しやすい環境を作るためには、聴き手の質問の順番や内容の使い分けが重要であることを体系的に学ぶことができました。
事前に考えて戦略的にヒアリングに臨めるようになる
― 全体を通して、今回の研修をどのように評価されていますか。
丸山様 若手にとっては、ヒアリングにおいて目指すべきゴールと、そのゴールに到達するための具体的なプロセスが明確になったと思います。一方、経験豊富な社員にとっては、これまで感覚的に行っていたヒアリングを理論的に整理し、言語化できたことが大きな収穫だったのではないでしょうか。「自分のやり方は本当に正しいのか」という疑問が解消されたり、新たな気づきを得たりすることができたと思います。
米田様 研修後の変化として、営業担当者がより戦略的に考えて行動するようになったことが挙げられます。これまでは「とりあえず訪問して会社案内をする」という営業姿勢に留まりがちだったのが、上司からの指示を待たずして、「何を聞き出すべきか」「どのような順番で質問するか」を自分自身で事前に考えてから訪問できるようになったと感じます。
見山様 当社が外部の研修会社に研修をお願いしたのは、今回が初めてのことでした。ですから多くの社員が研修の受講を楽しみにしていましたし、受講後のアンケートの結果も高評価を得られました。「来年もぜひ受けたい」という声も多くありました。成功だったと思います。
米田様 研修で学んだスキルの定着や活用を受講者個人の努力に任せるのではなく、組織としてどのようにヒアリングスキルを向上させ、定着させていくかがこれからの課題です。管理職である私たちも、日常の営業指導の中で今回学んだ内容を活かしていきたいと思います。
― 最後に今後の研修計画について教えてください。
見山様 2026年2月ごろに、再度マーキュリッチさんに外部研修をお願いしたいと考えています。西野さんからは「研修は数回に分けて実施することでより効果が高まる」というアドバイスをいただいています。具体的な内容については、今後ご相談させていただく予定です
ー 本日は貴重なお話をうかがうことができ、ありがとうございました。
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※取材日時 2025年5月
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