株式会社KDDIエボルバ様は、コンタクトセンターを中心としたBPO(Business Process Outsourcing)事業を展開しているKDDIのグループ会社です。マーキュリッチは、同社が2021年に実施した営業基礎力強化研修を担当しました。

KDDIエボルバのサービス推進本部営業推進部 部長 蓬田様と、主任の飯田様に、この研修を実施した狙いやマーキュリッチに研修を依頼した理由、研修内容に対する評価などについて、お話を伺いました。

クライアントの特性にマッチした提案を行う力が求められる

― まずは御社の営業職の業務内容や、求められる役割を教えてください。

蓬田様 当社は、コンタクトセンターに関する業務の設計から運用までのアウトソーシングを担っている会社です。営業職は、コンタクトセンターをお持ちの法人や、新規センター開設を検討している法人のクライアントに対して、どのようなサービスを提供できるかをご提案し、導入に結びつけていく役割を担っています。

コンタクトセンターというと、かつては電話による対応が中心でしたが、近年はチャットやWebページ、メールなど、コミュニケーションのチャネルが増えてきています。どのチャネルをどう組み合わせるのが最適であるかは、クライアントが扱っている商品・サービス、顧客層、会社の状況などによって異なります。そのため営業職は、クライアントごとの特性やニーズ、課題をしっかりとつかんだうえで、そのクライアントにマッチした提案を行っていく力が求められます。

当社ではこれまでも研修等を通じて、営業職の能力向上に力を注いできました。20年度には中堅社員を対象に外部の研修会社による研修を実施しました。21年度は新卒2年目の若手社員と中途入社や他部門から異動してきたばかりで当社での営業経験がまだ浅い社員を受講対象としました。

ロジカルシンキング、仮説構築、情報伝達の3つのスキルの向上をめざす

― 今回、御社では営業職を対象とした「営業基礎力強化研修」を実施されました。企画の段階では、どんな内容の研修を実施したいと考えたのでしょうか。

飯田様 研修の実施にあたって、事前に受講対象になる社員とその上司に対して、「不足していると感じるスキル」と「今後身につけたい(身につけさせたい)と考えているスキル」のアンケート調査を実施しました。その結果、上位に上がってきたのはロジカルシンキング力と仮説構築力、情報伝達力の3つでした。

この3つの力は、私たち事務局サイドが若手の営業職に対して身につけさせたいスキルとも一致していました。成約率を上げるためには、営業職が論理的思考力をベースにして、クライアントが抱えている課題や解決策についての仮説を構築し、クライアントに的確に情報を伝える力を備えていることが重要になります。そこで研修会社さんには、この3つのスキルの育成を柱とした研修を提供していただきたいと考えました。

若手の営業職が理解しやすく、実務に役立つ研修を提案してくれた

― 研修会社にマーキュリッチを選んだ理由は何でしょうか。

飯田様 複数の研修会社さんにお声がけをしたのですが、その中でもっとも商談中のヒアリングで当社の課題の深掘りや整理をしてくださり、本質的な議論をしてくださったのがマーキュリッチさんだったからです。その結果としてもっとも「若手の営業職が理解しやすく、なおかつ単なる知識の習得だけではなく実務に役立つ内容」を提案してくださいました。

今回の受講対象者は入社2年目が中心のため、実務経験は既にあります。一方でロジカルシンキングや仮説構築の方法などを体系的に学んだ経験はない者がほとんどです。マーキュリッチさんの提案は、実務の事例を豊富に用いながら、ロジカルシンキングや仮説構築、情報伝達について基礎から学んでいくというものでした。日々の業務の中で、ロジカルシンキングや仮説構築を具体的にどのように使っていけばいいのかが理解しやすい内容になっていました。

実は私自身も以前、マーキュリッチの野村さんが講師を務めたKDDIグループ主催によるロジカルプレゼンテーション研修を受講したことがあります。そのときに実感したのは、受講者のワークの内容に対する野村さんのフィードバックが非常に具体的かつ的を射ているということでした。その研修は、KDDIグループのさまざまな会社の社員が受講しており、受講者の職種も業務内容もさまざまでした。

そんな中で野村さんは、その場で受講者と少しやりとりをしただけで「そういうお仕事なら、業務の場面でこういう課題が発生しやすいのではないですか。その課題はこのフレームワークをこんなふうに使えば整理できますよ」といったフィードバックをしていました。一人ひとりの受講者の状況や課題を短時間で把握する力が卓越していると感じました。

研修と研修の合間には事中課題を与えて、受講者にとって「研修の当日以外もトレーニングの場」になった

― 今回の研修では、12名という少人数の受講者に対して、毎月1回、4か月にわたって計4回実施することになりました。

飯田様 3つのスキルをしっかりと習得してもらうためには、1日だけの研修ではなく、3日ないしは4日は必要だと考えました。ただし営業職の社員が研修のために3~4日連続して実務から離れてしまうと、業務上さまざまな支障が生じることが予想されます。そこで1日ずつ、1か月程度間隔を空けて実施することにしました。

その際にマーキュリッチさんからの提案で、研修と研修の間にやや負荷の大きい事中課題を出すことになりました。受講者はその課題に取り組みながら、次の研修までの期間を過ごさなければいけません。研修がない間も、研修で学んだことを受講者に考えさせ、業務の中で実践させる時間が作れたと思います。これは大変効果的でした。

― 1回目の研修が始まる前に、御社からの依頼を受けて、受講者とその上司の方に対して、研修の目的や内容についての説明会をオンラインで開催しました。この狙いを教えてください。

飯田様 どんなに研修内容が充実していたとしても、受講者が研修で学んだことをその後の実務で実践していかないと使える知識にはなりません。ですから受講者にはあらかじめ、「なぜこの研修をやるのか」「研修で学んだことをどう活かしてほしいか」といった研修を実施する目的や思いを伝えておく必要があると考えました。

また受講者が研修で学んだことを実践する際には、上司も研修の目的や内容を理解しており、適切な支援やアドバイスを行えることがカギとなります。そこで上司にも説明会に参加してもらうことにしました。

マーキュリッチさんには、説明会を開いてほしい旨をお伝えしたところ、快く引き受けていただけました。

当社に深くコミットしつつ、同時に外部の視点から気づきを与えてくれた

― 研修当日の内容については、どのような評価をしていますか。

飯田様 最初にいただいたご提案のとおり、とても実践的な研修でした。例えば研修中のワークも、当社の営業職が実際に作成した提案書を参考にしながら課題を設定していただきました。

野村さんは研修前の打ち合わせの段階から、当社の事業の特性や抱えている課題などを深く知ろうとする姿勢が強く、私たちにいろいろと質問をされました。だからこそ受講者の実務に即した研修を行うことができたのだと思います。

また野村さんから受講者へのフィードバックでは、外部講師ならではの視点から、とても有益なアドバイスをいただけたと感じています

― 具体的には、どういうことでしょうか?

飯田様 例えば研修の後半に、受講者が自分のクライアントの状況や課題を分析したうえで、クライアントに対して提案書を作成するというワークがありました。

受講者はクライアントの状況や課題については、研修の中で学んできた仮説構築力やロジカルシンキング力を駆使して適切な分析ができていたのに、提案の段階になると、汎用的な販促資料に基づく当社の強みを強調し、クライアント個別の課題に対する解決策が不十分になってしまうというケースがありました。

当社は、「コンタクトセンターのスタッフの大半を直接雇用することで高い定着率を維持し、スキル・品質を高める」ことに注力しています。こうした他社より優位なポイントは、汎用的な販促資料や提案書に盛り込まれることが多いため、「当社ならではの強みを書き込むことが必要」と意識しすぎると、クライアントが抱えている個別の課題から離れていることに気づきにくくなってしまいます。

すると受講者の提案書を読んだ野村さんから「この内容だと、クライアントの課題と提示しているソリューションがつながってませんよね。これではクライアントの心は動かすことはできません」という指摘がありました。
組織の中では気づきにくいポイントでもあったので、汎用資料を提供する立場の私たちとしても大変勉強になりました。

このように当社が期待していた「具体的」且つ「明瞭」なフィードバックが研修中ではたくさんありました。

― 研修に対して、受講者はどのような評価をしていますか。

飯田様 アンケートを取ったところ、非常に高い評価が得られました。特に「今回学んだ内容は実務にも活かせそうか?」という設問では、全員が「活かせそうだ」と回答しました。また「私たちのことを深く理解したうえで、研修を行っていこうとする姿勢が伝わってきた」という声もありました。

蓬田様 受講者からの満足度が高かった理由のひとつとして、野村さんが受講者一人ひとりのレベルに合わせたフィードバックをしてくださったことも大きいと思います。今回の研修では新卒2年目もいれば、中途入社組や他部門からの異動組もいたわけですが、野村さんはそれぞれの社員の経験や知識のレベルを見極めて、フィードバックのときの言葉の使い方を変えているなと感じました。

そのため、経験や知識の量に関わらず、受講者全員にとって学びや気づきの多い研修になったのだと思います。これは企画側としてとても助かりました。

― 最後に今後の御社の研修計画について教えてください。

蓬田様 営業職を対象とした研修は、当然今後も継続していく予定です。

マーキュリッチさんには、営業職向けの研修とは別に、社員へのマンツーマンコンサルティングをお願いしたいと考えています。当社ではクライアント向けに当社のサービスを紹介するオンラインセミナーを開催しているのですが、そうしたセミナーにおけるわかりやすく魅力的な話し方や伝え方についての指導をマーキュリッチさんに行っていただくことを計画しています。

― お忙しい中、本日はありがとうございました。

※アルティウスリンク株式会社 ホームページ
※取材日時 2022年2月
※KDDIエボルバは、りらいあコミュニケーションズと経営統合し、2023年9月より「アルティウスリンク株式会社」となりました。
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