人材育成のご担当者として、こんな悩みを抱えたことはありませんか?

「研修ではみんな意欲的だったのに、しばらくすると元通りで・・・」「良い学びだったはずなのに、大きな行動変容にまで繋がっていない 気がする・・・」

こういった「学びの薄まり問題」「現場定着の壁」とでもいうような声は、研修に向き合ってきたご担当者の多くが共通して感じている悩みだと思います。だからと言って、全国に散らばっている受講者を再度集めてフォローするのは労力がかかり過ぎるし、フォロー用のe-learning教材を用意しても、しっかり視聴して血肉に変えてくれるのはほんの一握り中の一握りです。

これらは、「研修の宿命」と言えるほどの、永遠の課題かもしれません。だからこそ今回、こういった悩みの解決に繋がる「投資対効果」の高い仕組みをご紹介したいと思います。

我々が「バディシステム」と呼んでいるものです。

「バディシステム」とは?

バディシステムとは、受講者同士で“バディ(相棒)”を組み、研修後の期間も学びの実践・共有を支え合う仕掛けです。言い換えるなら、研修で得た知見を現場での行動に結びつけるための、パートナーシップを軸にした継続支援の枠組みです。

ちなみに、2人組または3人組という少人数がスケジュールも合わせやすく、対話も濃密になるのでお勧めです。

具体的にどんなことをするのか?

たとえば、プレゼンテーション研修であれば、研修でもらったアドバイスをもとに改善したプレゼンをバディに 対して再発表し、フィードバックし合う。研修後のプレゼンに関する成長や気づきを共有し、学びを深め合うといったことを行う。

また、マネジメント研修などのマインド・行動系の研修の場合では、「部下との1on1でこんな問いかけをすることで、こんな効果があった」「今週は“褒める”を意識してみた」など、実践内容とそこからの気づきを対話を通じて共有・学習していく。

こういった「学びの実践⇒気づき⇒共有」といったプロセスにより、研修での成長が“一過性のイベント”で終わるのではなく、“継続的なスキル向上・行動変容“へ繋がっていきます。

バディという名前に込めた意味

なぜ“ペア・グループ”ではなく、“バディ”なのか?

「バディ」とは、もともと軍隊やスキューバ・ダイビングなどで使われる用語で、「運命共同体として、互いを守り合う相棒」という意味があります。

ただの「ペア活動」ではなく、「あなたがいるから頑張れる」「一緒に前に進もう」という関係性を生むのが、この仕組みの本質です。まさに、このネーミングが、その精神を象徴しています。

なぜ、バディシステムは投資対効果が高いのか?

「Must的エンジン」 : 人との約束が行動を生む

人は、“自分との約束”には甘くなりがちですが、“他者との約束”は不思議と守りたくなるものです。「来週、バディミーティングで発表することになっている」その一言があるだけで、自然と“やらなきゃ”モードに入る。

そして、やるからこそ学んだことへの振り返りも生まれ、気づきが得られる。

バディシステムは「Must的なエンジン」、つまり外的な動機づけとして、行動を促す力を持っているのです。

私自身が行っているマンツーマンのコンサルでも、「実践・記録・共有」という、いわゆる「アクションレコーディング」を 仕組みにしているのですが、終了後にはこんな声をよくいただきます。「あのアクションレコーディングがあったからこそ、より成長が大きくなったと実感しています」

こういった「良い意味の強制力」が、継続ひいては大きな成長には欠かせないのです。

Want的エンジン : 「ぬくもり」があるから、続けたくなる

もう一つ大事なのが、「人と一緒に学ぶことの楽しさ」です。

学びって、孤独だとなかなか続きにくい。e-learning学習が継続しづらいのも、実はこの“人との交流”がないから、という側面が大きいと言えます。でも、バディと対話することで孤独感が解消され、それだけで元気をもらえたりします。また、話すことで考えが整理されたり、聞くことで新たな視点を得られたりもします。

これこそが、「Want的なエンジン」の発動、つまり「やりたい」「もっと話したい」という気持ちを引き出す仕掛けなのです。気がつけば「やらされてる」ではなく、「やる気になるので、自然と続いていた」という状態を作ることになります。

このように、「Must」と「Want」、この2つのエンジンが同時に回ることで、学びは継続し、効果が定着していく。

それが、バディシステムの大きな特徴です。

今の時代にこそ最適

この仕組みはテクノロジーと上手く組み合わせることで、非常に効率的に実現することができます。

研修のフォローミーティングに関して、今までは会わないとなかなか難しかった。ただし今は、ZoomやTeams、Webexなど、会社の環境に応じたオンラインツールで対応可能です。わざわざ会わなくても、顔を見て、声を聞いて、しっかり対話できる。

さらに今は、生成AIの力を借りることで、バディ対話を自動で要約し、報告書として提出することも可能です。これによって、受講者の実践報告が可視化され、事務局の取りまとめ負担も大幅に軽減されるのも大きいでしょう。

まさに、“ぬくもりある学び”と“効率的な運用”を両立できる、今の時代ならではの仕組みです。

特におすすめなのは「シリーズ型研修」

もちろん、単発研修でも効果はありますが、とりわけ効果が高いのはシリーズ型の研修です。

研修と研修の間にバディ活動を挟むことで、実践行動が自然と続き、学びが深まり、変化・成長が積み重なっていく。「研修のたびにバディ活動を共有し、さらなる次のアクションへつなげる」これを繰り返すことで、受講者の中に実践の文化が根づいていくのです。

バディシステムは、「人のぬくもり」と、「仕組みの力」をかけ合わせた“王道”の定着法です。

学びを「一過性」で終わらせず、定着へと繋げたいと願うご担当者の方は、ぜひ次の研修設計に取り入れてみてください。手間をかけずに、定着率がグンと上がるはずです。

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西野浩輝

「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。

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