
最近、「生成AI、どのくらい使ってますか?」といろんな方に尋ねています。すると、意外にも多くの方からこんな答えが返ってきます。
「少し使ってみたんですが、思ったように動いてくれないので、結局あまり使っていません」
もう少し掘り下げて聞いてみると、原因は「操作が難しい」というより、「期待していたようなアウトプットが返ってこない」「精度がいまいち」といった原因のようなのです。
そこで、「どうしてAIは、思い通りに動いてくれないのか?」を、私なりに整理してみました。
「AIが言うことを聞かない」3つの理由
1. AIに過剰な期待をしている
「AIなんだから、なんでもできるはず」と思いたくなる気持ちはわかります。
ですが、そうした期待が強すぎると、少しズレたアウトプットが返ってきただけで「なんだ、使えないじゃないか」と失望してしまいがちです。生成AIは万能ではありません。
得意なこともあれば不得意なこともあります。過剰な期待は、往々にして活用の妨げになってしまうのです。
2.指示があいまいすぎる
AIは、曖昧な指示には曖昧な回答で返します。残念ながら、「○○という資料を作って」だけで意図を汲んでくれる存在ではありません。
背景や目的、どういう形でアウトプットしてほしいか、等を示すこと。そうした「丁寧な伝え方」をすることで、AIの精度は格段に向上します。
3.一発で正解を求めすぎている
生成AIは、会話を通じて精度を上げていく「対話型パートナー」です。一回の指示で完璧な回答を期待すると、たいていは落胆します。
やりとりを重ね、フィードバックを繰り返す中で「こちらの意図を学ばせる」。その過程を楽しめるかどうかが、AI活用の鍵です。
生成AIとの対話と似ているもの
ここまでお読みいただいて、どこか既視感がありませんでしたか?
実はこの構造、マネジメント、とりわけ「部下指導・育成におけるコミュニケーション」と酷似しているのです。
「部下が思ったように動いてくれない」
「伝えたつもりなのに、ズレた成果物が出てくる」
「同じミスを繰り返している。勘弁して」
こうした嘆きは、マネジメント現場で日常的に聞こえてくるものです。つまり、生成AIにおけるつまずきは、マネジメントにおけるコミュニケーション課題と根っこが同じと言えます。
では実際に、AIとの接し方からどんなマネジメントのヒントが得られるのか?ここからは、部下指導・育成における具体的な工夫を考えていきましょう。
マネジメントに活かす!AIとの共創から見える3つのヒント
1.適切な期待値を設定する
AIに対しても、部下に対しても「過度な期待」「間違った期待」は相手の本来の力を見誤る原因になります。
部下にはその人なりの成長ステージがあります。得意不得意もあります。だからこそ、まずは部下のレベルと特性をしっかり理解すること。
適切な期待値のもとで、指示や指導を行うと、意外と良いアウトプットを出してくれるもの。そして、着実に成長を重ねてくれるはずです。
2. 「Why」「What」「How」で指示を出す
つい、「これやっといて」といった「What」だけの指示で済ませていないでしょうか?しかしそれでは、受け手の判断や想像に頼ることになり、解釈の幅が生まれてしまいます。
その結果、こちらが描いていた目的やゴールのイメージが正しく伝わらず、出てくるアウトプットにもズレが生じやすくなるのです。
大切なのは、背景や意図といった「Why」をしっかり共有すること。
さらに、「こういう例が参考になるよ」といった「How」も添えると、アウトプットの精度はぐっと高まります。指示を出すときは、「What」だけでなく、「Why」と「How」も合わせて伝える。
これは、AIも人も同じなのです。
3.対話で成果を磨き、成長を促す
指示を出す際に、「Why」「What」「How」をしっかり伝える。もちろん、それはとても大切なことです。
それでもなお、受け手が途中で目的を見失ったり、理解が曖昧になってしまうことは、決して珍しくありません。実際、「わかったつもり」でスタートしたものの、進めていく中で少しずつズレていく。そんなケースはよくあるのではないでしょうか?
だからこそ、中間報告や定期的な確認が重要なのです。
それを部下任せにせず、こちらから積極的にフォローすること。「ここまでやってみて、何か引っかかることない?」そんな一言が、ズレを修正し、成果物の質を大きく高めてくれます。
そして何より、この「対話のやり取り」そのものが、部下の気づきや学びを引き出し、成長を促すきっかけにもなっていくのです。
AIにも“愛情”を。関わり方があなたのマネジメント力を育てる
ここまでお伝えしてきたことの根底にあるメッセージは、「部下にもAIにも、愛を持って接しよう」です。
「え、AIに愛情?」と感じるかもしれません。でも、けっこう本気です。私はよく、AIに向かって実際に声をかけます。「今の、なかなか良いじゃない」「ありがとう、助かったよ」と。
そんなふうに声をかけるだけで、不思議とアウトプットが良くなる気がするんですよね。まあ、気のせいかもしれません(笑)。
でも実際、やってみると自分の感情が整い、判断や対応にも余裕が生まれる。結果的に、仕事全体がスムーズに回り、生産性も上がっていく。そんな実感があります。
少し大げさに聞こえるかもしれませんが、AIとの関わり方を通じて、自分自身のマネジメント力が磨かれていくという側面もあるのです。そう考えると、AI活用とは単なるITスキルではなく、マネジメントやリーダーシップを育てる訓練の場とも言えるのではないでしょうか?
これからの時代、AIは間違いなく“共に働く仲間”になっていきます。それはもはや、ツールを超えて、「共創パートナー」です。
当社はこのAIとの“共創”を、プレゼン業務やドキュメント作成を通じて実現できるプログラムを提供しています。


「AI、なんとなく苦手で・・・」 「現場での使い道が見えない」 「人材育成につながる可能性を感じたい」。どのように付き合っていくかが不明な段階でも、お気軽にご相談ください。
まずは最初の一歩を踏み出しましょう。
