出来る人はミスの内容によって報告をしなければならない境界線を心得ている

from 西野浩輝

仕事でミスをしたとき、「このまま気づかないふりをしてしまいたい」と思うのは、特別なことではありません。フォローできてしまった小さなミスほど、わざわざ言い出す必要があるのかと迷うものです。

結論から言えば、すべてのミスを報告する必要はありません。判断の基準はひとつで、「そのミスが同僚・上司・会社に直接的な影響を及ぼすかどうか」です。影響が及ばない範囲で自分が処理できたなら、報告は不要です。逆に影響が及んだ場合は、必ず、そしてできるだけ早く報告すべきです。

この記事では、報告が必要なミスとそうでないミスの境界線を具体例で示したうえで、報告するときに叱られにくくなる伝え方の順番までを解説します。

気づかないふりをすると、何が起きるのか

「黙っていればわからない」と考えたくなる場面はあります。ただし実務では、隠したミスが表に出るきっかけは自分以外のところから訪れます。顧客からの問い合わせ、別担当者による確認、監査やシステムの記録。自分が忘れた頃に、他人の口から伝わるのが最も避けたい形です。

このとき問題になるのは、ミスそのものよりも「知っていて言わなかった」という事実です。ミス単体であれば「誰にでもある」で済んだものが、隠したと判断された時点で、能力ではなく姿勢の問題として扱われます。信頼は、失敗の有無ではなく、失敗の扱い方で判断されるからです。

もうひとつ見落とされがちなのが、隠すことで対処が遅れる点です。早ければ一本の電話で済んだものが、時間の経過とともに関係者が増え、対応の選択肢が減っていきます。報告のコストは時間とともに増えると考えてください。

① 報告すべきミスの見極め方:影響と重要性に基づく判断

では、全てのミスはを報告すべきなのでしょうか?

結論から言うと、いちいち全てを報告する必要はありません。

あなたが上司だったとしましょう。

部下がちょっとしたミスをする度に「申し訳ありません。実は・・・」、と報告に来たのでは仕事になりませんよね。その内にろくに聞いてない段階で「またか!」と怒鳴り出してしまうことでしょう。そしておそらくこう言い出します。

「子どもではないんだから、自分で始末できることは自分でやれ!いちいち俺に報告しに来るな!」

② どこまで報告すべきか:具体例で理解する判断ライン

「いちいち俺に報告しに来るな!」と叫んだ上司は、ミスを報告すること自体を否定しているのではありません。

「必要性を自分で判断し、選んだ上で、適切にミス報告をして欲しい」ということなのです。そこは理解すべき重要な点です。

では何を報告し、何を報告しないのか?

判断の基準は、そのミスが同僚や上司、会社そのものに直接的な影響を及ぼすかどうかということです。

例えば提案書作成が遅れたが、お客様に催促される前にお渡しできて、先方も満足してくれたならば、報告は不要でしょう。逆に、提出が遅れたが故に受け取ってもらえなかったとか、そのせいで商談自体がダメになったというのであれば、必ずすぐに報告すべきです。

また、見積書の数字が間違っていると担当者から連絡があっただけでは、報告不要です。一方で、それによって担当者が上司に叱責され、迷惑がかかった場合には、必ず報告する必要があります。

仮にあなたがある顧客を上司と一緒に担当しているのならば、その会社に対するミスについては、少々のことでも耳に入れるべきでしょう。

そうしないと「〇〇さんは、□□さんの上司でしょ?そんなことも知らなかったの?」と上司の顔を潰すことになり兼ねません。さらには会社の連携体制に疑問や不安を抱かれることにもなります。

境界線の説明を読んでも迷う場合は、次の2つを自分に問いかけてください。

  1. このミスを、後から他人経由で上司が知る可能性はあるか。少しでもあるなら報告する。他人から伝わる形が最も損失が大きいためです。
  2. もし自分が上司なら、これを事後に知らされて困るか。困ると感じるなら報告する。立場を入れ替えると、境界線は驚くほど明確になります。

③ 正しい報告術:速さと整理で信頼を築く報告プロセス

最後に報告の仕方についてお話します。

ミスの報告における大原則は、とにかく速やかに報告すること。
もちろん、その案件の緊急性にもよるのですが、叱られるのがいやでミスの報告が遅れるのは絶対に避けなければいけません。

では、一秒でも早く報告すればいいかと言うと、そうではありません。

「超緊急案件」以外は、まずはメモを作りましょう。自分が整理して話すための手書きメモで十分です。

ミスを報告する際は、頭が一杯一杯になりがちなので、得てして話も分かりにくくなるものです。

その状態で報告すると、上司から「結局何が言いたいんだ!?」と言われ、余計な時間がかかってしまうことになりかねません。自分の頭を冷やし、状況を整理するためにもメモを作ることをお勧めします。

その上で、ミスを報告する際の基本プロセスは以下です。

  • 恐縮した態度で謝罪する
  • 現在、起こっている事実や結論(すぐ手を打つべき、一旦鎮静化した、等)を言う
  • ミスが起こった理由を述べる
  • 対処方法について述べる(今やっていること&今後やること)
  • 相手(上司等)にやってもらいたいことを言う

報告の際の特に重要なポイントは、「起こった順番で言うのではなく、相手が聞きたい順番で言う」と「事実と意見を分ける」の2点です。

報告が遅れてしまったときはどうするか

すでに時間が経ってしまった場合、「今さら言えない」という気持ちがさらに強くなります。それでも、報告するなら早いほど傷は浅くなります。

遅れた報告では、次の順番が有効です。

  1. 遅れたこと自体を先に詫びる(「報告が遅くなり申し訳ありません」)
  2. 現在の状況を先に伝える(すでに収束しているのか、対応が必要なのか)
  3. なぜ遅れたのかを、言い訳にせず短く述べる
  4. 今後の対処と、依頼したいことを伝える

順番を守るだけで、相手の受け取り方は変わります。人は、事実そのものより「隠す意図があったかどうか」を気にするためです。

まとめ:報告できる人が信頼される理由

ミスは誰にでも起こるものです。

勇気を持って早めに報告し、適切な対策を講じれば、上司や関係者は安心してくれるのみならず、逆に関係性が深まる良い機会になるでしょう。

加えてミスの報告で怒られたり評価が下がることが無いよう、「心のイメージング」も併せて行うことも効果的です。

報告や相談を「相手が聞きたい順番で伝える」技術は、日々の報連相だけでなく、提案や会議での発言にもそのまま効いてきます。マーキュリッチのロジカルライティング研修では、事実と意見を分けて構造的に伝える型を、演習を通じて身につけます。

心を読むイメージングで築く信頼関係の技法 from 西野浩輝 仕事でミスをしたとき、「このまま気づかないふりをしてしまいたい」と思うのは、特別なことではありません。フォローできてしまった小さなミスほど、わざわざ言い出す必要があるのかと迷うものです。 結論から言えば、すべてのミスを報... https://www.mercurich.com/news-090924/
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西野浩輝

「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。

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