三菱電機株式会社様では、九州支社、中国支社、四国支社、北陸支社の4支社合同で、課長職を対象としたマネジメント研修を隔年で実施しています。2021年度は「リモートワーク下におけるマネジメント」をテーマとした研修を実施されました。

三菱電機九州支社総務部人事研修課の野下知樹様(所属部署は取材時(2022年4月)のもの)に、今回の研修の狙いや研修会社にマーキュリッチを選んだ理由、研修の内容に対する評価・感想についてお話を伺いましました

マーキュリッチの講師のファシリテーション力の高さに注目した

― 三菱電機様では2022年1月、九州、中国、四国、北陸支社の4支社合同で、課長職を対象としたリモートマネジメント研修を実施されました。この研修を企画されることになった経緯を教えてください。

野下様 4支社では、課長職2~5年目の社員を対象としたマネジメント研修と、営業部門に所属する主任職2~5年目の社員を対象とした営業力向上研修を隔年で交互に実施しています。2021年度は課長職対象の研修を実施する年度にあたり、九州支社が研修の企画・運営を担うことになりました。

今回の研修内容について検討した結果、マネジメントに関する研修の中でも、特に「リモートワーク下でのマネジメント」をテーマとした研修を実施することにしました。

当社も新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年から、リモートワークを進めていました。当初、管理職は経験もノウハウもまったくない状態から、ここまで手探りでリモートでのマネジメントに取り組んできました。その結果、コツをつかめた部分もあれば、いまだに自分のやり方が正しいかどうか不安に感じている部分など、人によってさまざまな異なる状況となりました。そこでリモートでのマネジメントについての適切な考え方とやり方を、一度体系的に学べる機会を設定したいと考えました。

― 研修会社にマーキュリッチを選んだのはなぜですか。

野下様 「講師のファシリテーションスキルが非常に高そうな会社」だというのが、マーキュリッチさんに興味を持ったきっかけでした。

オンラインでの研修の場合、対面での研修以上に講師のファシリテーションスキルが高くないと、受講者を研修の中に引き込み、最後まで集中力を維持させるのは難しくなると考えました。

そこでリモートマネジメントに関する知見を持っていることは当然のこととして、講師が高いファシリテーションスキルも備えている研修会社を探したところ、目に留まったのがマーキュリッチさんでした。

マーキュリッチさんはプレゼンテーション研修を研修事業の柱に据えています。「プレゼンテーションのプロである」ということは、「聞き手の興味関心を高め、わかりやすく魅力的な話ができるという点でもプロだろう」と考えました。

実際にマーキュリッチさんがYouTubeにアップしているリモートマネジメント研修を始めとした動画を観たところ、プレゼンのレベルが非常に高いと感じました。そこでマーキュリッチさんに問い合わせをしたのです。

最初の打ち合わせのときに特に印象的だったのは、講師を務める野村さんが同席してくださったことでした。研修会社によっては、講師とは研修当日までお会いすることができないことも少なくはありません。

野村さんが同席してくださったことで、リモート下でのマネジメントに関する当社の課題感や、研修内容についての要望を直接お伝えすることができました。一方野村さんからも、マーキュリッチさんの研修の特長や、リモートマネジメントについての考え方や、実際の具体的な研修内容を伺うことができました。またその対話を通じて、野村さんのプレゼンテーション力の高さを改めて実感することもでき、信頼に繋がりました。結果として、マーキュリッチさんにお願いすることに決めました。

「自立・自燃・自走」の考え方が多くの受講者の心を捉えた

― 研修を実施するにあたって、マーキュリッチにはどんな要望をされましたか。

野下様 「リモートマネジメントの考え方ややり方を、広く体系的に網羅したものにしてほしい」とお願いしました。

今回の研修では、事前に受講者に「リモートマネジメントで課題に感じていること」や「研修で学びたいこと」などについてのアンケート調査を実施しました。すると課題については、「リモートで部下とどのようにコミュニケーションをとればいいか悩んでいる」、「部下が働いている姿が直接見えない中で、部下の業務管理をどこまでどのようにおこなえばいいかがわからない」、「若手の教育や育成に苦労している」といった声が多く出ました。つまり受講者が抱いている課題は、大きく「コミュニケーション」「業務管理」「若手の教育」の3つに集約されました。

ただし3つの課題の中でも、特にどの部分に強く課題を感じているかは受講者によってそれぞれ異なっていました。また「リモートによるマネジメントがどの程度適切にできているか」というレベル感も、受講者によって異なります。そのため、どのような受講者にとっても「研修を受けて良かった。新たな気づきが得られた」と思っていただける研修にするために、広く体系的に学べる内容にしてもらえるようにお願いしました。

― 研修当日の内容については、どのように評価をしていますか。

野下様 一つ懸念していたのは「広く体系的に学べる内容にするために、受講者がたくさんの情報を一気に詰め込もうとして、消化不良を起こしてしまうのではないか」ということでした。こうした私たちの懸念に対して、野村さんは研修中に「今日はたくさんのことをお話しますが、その中で一つでも二つでも気づきがあれば、それだけで収穫だと思ってください」ということを受講者に何度も伝えてくれました。「広く体系的に学び、自分にとって重要なものを選び取る」というコンセプトをしっかりと刷り込んでくださったわけです。
おかげで受講者もすべてを詰め込もうとはせず、「自分にとって重要だと思われる部分にフォーカスしてしっかりと吸収しよう」という意識で臨むことができていたと思います。

野村さんの話の中でも、特に受講者の心を捉えたのは「部下の自立・自燃・自走を引き出すマネジメント」についての考え方だったと思います。上司の指示を待つだけでなく、自分でゴールを設定し、強い思いを持ちながら、主体的に行動できる部下、つまり自立・自燃・自走できる部下を育てることが、管理職の役割であるという話でした。

これまで部下を細かいところまで管理するマネジメントをおこなってきた人、そういうマネジメントを過去の社会人人生の中で受けてきた人の中にも、リモートワーク下においては、その難しさや限界を実感している人は多いはずです。そういう受講者に対して、「自立・自燃・自走」は大きな気づきを与えられるメッセージだったと思いました。

一方で「そもそもマネジメントとは?」といった本質的な話だけではなく、明日からの業務の中ですぐに取り入れられる小技もいろいろと紹介していただきました。受講者にとって持ち帰られるものがとても多い研修でした。

研修終了後も熱心に質問をしていた受講者たち

― 当日の講師の研修の進め方については、どう評価されていますか。

野下様 講師からの講義も一方通行ではなく、チャットなどを効果的に活用することで、講師と受講者が双方向のやりとりをおこなう場面が数多く設定されていたと思いました。

また受講者同士のやりとりでは、1日の研修の中に5分程度のペアワークを複数回取り入れていました。毎回違う受講者同士でペアを組んでワークをおこなっていたので、受講者としてはその都度新鮮だったと思います。このように少しでも多くの気づきを得てもらうための工夫や、受講者を飽きさせないための工夫が、細かい部分にまで設計されていると感じました。

― 研修をオブザーブされていて、特に印象に残っている場面は何かありますか。

野下様 研修が終わった直後に、野村さんへの質問タイムの時間を設けさせていただいたのですが、20人程度いた受講者のうちの何人かがオンライン上に残り、熱心に質問を繰り返していた姿がとても印象的でした。

これまでも講師の方のご厚意で、研修後に質問タイムを設定したことはあったのですが、ほとんどの場合は、受講者は研修が終わればすぐに退室してしまうものでした。

ところが今回は違いました。おそらく受講者と野村さんとの間で、20~30分は話し込んでいたと思います。質問の内容も、自分たちがリモートでのマネジメントに日々取り組む中で感じている課題や悩みごとを、野村さんに「質問の域を超えて、相談する」といった真剣なものでした。

今回の研修が受講者の課題意識に非常に響く内容であったからこそ、研修が終わったあとも、これだけ熱心に野村さんに質問をする受講者がいたということだと実感しました。

今のタイミングだからこそリモートマネジメント研修をやる意義があった

― そうしますと改めて振り返ってみられて、今回の研修は意義のあるものだったと思われますか。

野下様 はい、研修を実施したタイミングも非常に良かったと思います。リモートワークが始まったばかりの2020年の時点で、リモートマネジメント研修を実施するという選択肢もありましたが、当時は管理職も、まずリモートマネジメント以前にリモートワークに慣れることで精いっぱいでした。そこで当時当社では、リモートワーク研修は実施したのですが、リモートマネジメント研修の実施は見送りました。

けれどもリモートワークが始まってから約2年が経過し、今では管理職もリモートでのマネジメントについて相応の経験を積み、自分なりの手応えや課題が見えてきているはずです。そのタイミングでリモートマネジメント研修を実施すれば、自分たちがこれまで取り組んできたことが適切であったかを検証する機会や、抱えている課題を解決するためのヒントが数多く得られる機会になるのではないかと考えました。今回の研修に対する受講者の反応を見ると、その判断は正しかったと思います。

― 最後に今後の研修計画について教えてください。

野下様 4支社合同による課長職を対象としたマネジメント研修は隔年実施ですので、次に実施するのは2023年度になります。今回は「リモートでのマネジメントのあり方を広く体系的に学ぶ」という内容でしたから、次回は「リモートでの1on1ミーティングのやり方」や「部下のモチベーションを高めるリモートマネジメントの方法」など、もう少しテーマを絞り込んだものもよいかなと個人的には思っています。具体的な内容については、会社をとりまく状況の変化を見ながら、今後詰めていくことになります。。

― お忙しい中、貴重なお時間をいただきましてありがとうございました。

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※取材日時 2022年4月
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