「メンバーの自立・自燃・自走を引き出すマネジメントを実践したい」

当社のマネジメント研修後の受講者アンケートで、最も頻出するコメントです。研修のコンセプトにしているので、当然と言えば当然です。

そして、その中でも特によく出る言葉が「自燃」です。

「自燃」とは、文字通り「自らハートに火をつけ、成果に突き進んでいる状態」のこと。「自立・自燃・自走」の中で一番の根幹を成すものと我々は考えています。

まさに、望ましい理想の状態と言うことができます。

メンバーの「自燃」を実現するための絶対条件

こんなメンバーばかりだとありがたい限りなのですが、実際「メンバーの自燃」を実現するには、マネジャーやリーダーによる「あの手この手」の働きかけが必要なのは言うまでもありません。

そして、様々な打ち手の中で、間違いなく効果的な方法があります。いや、むしろ絶対条件と言っていいほどのものです。

何だと思いますか?

それは、あなた自身が「自燃」を「体現」すること。つまり、範を示すのです。

この「体現し、範を示す」ことの重要性とパワーを実感した、あるエピソードをご紹介したいと思います。

私の母の実例エピソード

私の母の実例です。

彼女は昔からとにかく口うるさいタイプで、「ああしなさい」「こうしてはだめ」とずっと私に言って聞かせてきました。私が成人してからも言い続け、「そんなに口うるさくいっても、オレ聞いてないから!」といくら言っても全く聞く耳を持ちませんでした。

そんな母が50歳になったとき、私を含め家族全員にこう宣言しました。「わたし、話し方の先生になりたいと思う。そのために頑張って勉強する」と。

それを聞いた私は「社会人経験もほぼゼロの普通のおばちゃんが、何を言っとるのだ?」と思い、何とか思いとどまらせるように忠告したのですが、頑固な彼女はこれまた全く聞く耳を持たず。最後は「好きにやれば?」と匙を投げました。

正直言って、私は「飽き性の母のことだから、どうせすぐに挫折してあきらめるだろう」と高をくくっていました

ところが、私の予想は全く外れたのです。

母はパートで溜めたお小遣いを使って、話し方教室に通い始め、来る日も来る日も勉強と練習をしまくっていました(途中で何度も練習に付き合わされたのには閉口しましたが<笑>)。その姿には、鬼気迫るものがあり、彼女の本気と覚悟の凄まじさには尊敬の念を覚えずにはいられないほどでした。

10年の月日が経ち、彼女が60歳になったとき、何と本当に話し方の先生になったのです。

この出来事は私の人生観に大きな影響を与えてくれました。

「目標を持つこと」
「自分を信じて日々努力を続けること」
「苦しいときも継続すること」
「人生に遅すぎることは何もないということ」

そんな人生の大事な教訓を彼女は身をもって、私に示してくれました。

つまり、母のこの「体現すること」自体が私への一番の教育になったことは間違いありません。

今でも思わず音をあげたくなりそうな苦しい局面に直面したときも、母の頑張りを思い出すと、もうひと頑張りできるほど、私の心の支えになっています。

まずは私たちがやるべきこと

あなたへの質問です。

「あなたは自燃していて、それを周囲にしっかりと体現できていますか?」

周囲のメンバーにもっと自燃して欲しいと願っているなら、まずはあなたからです。あなたの心の炎がメンバーのハートを引火させ、ひいてはチームと組織全体を燃える集団に変貌させるはずです。

西野浩輝写真マーキュリッチ代表取締役
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。
西野著書写真

西野浩輝プロフィールはこちら