from 西野浩輝

長期研修で確実に成果を出すとっておきの秘策

最近、長期で研修をする企業が増えているようです。

「コアとなる社員を選抜し、数か月かけてじっくり育成しつつ成果を出す」
という欧米式のトレーニングが日本でも主流になりつつあるのかもしれません。

御社ではいかがでしょうか?

私自身、講師としてこういった研修で指導することが増えているのですが、その際成果を出すためのとっておきの秘策があります。

それは・・・

受講者に日記をつけさせること。

次の研修日までの間、職場での実践状況を毎日報告させ、それを受講者同士、事務局、および講師で共有するというものです。

では、具体的には日記に何を書かせたらいいのでしょうか?

主には以下の2つがお勧めです。

①実践した事とそのレビュー
②他者から学んだこと(書籍等も含む)

要は、自分軸と他人軸の両方からの成果と学びを報告させるのです。

日記を書く事は負担になるか?

ただし、「日記」と聞いて、こう思われたかもしれませんね。

「毎日書かせるのは負荷をかけすぎなのでは・・?」と。

実は、逆なんです。

人間は習慣の動物です。
毎日やるようにすると、負荷はどんどん小さくなっていきます。

例えば、歯磨き。

続けるのが大変と思う人はそんなにいないはずです。むしろ「週2回だけしよう」とかの方が続けにくいものですよね?

実際、日記に関して言えば、ほとんどの受講者は途中から喜んでつけるようになります。

なぜなら、想像していたより少ない労力で効果を実感できるから。

そうなるとしめたものです。

「日記」というしくみによって、各人の実践行動が習慣化され、さらに成果が加速していきます。

では、なぜこのやり方で日記をつけることが成果につながるのでしょうか?

大きく2つの効果があるからだと考えています。

日記をつけることによる大きな効果

1つめは、実践力がつくこと。

日記に書くためには何か行動を起こさないといけません。
その「強制力」が原動力になって、新しい行動を取ることになります。

よく言われることなのですが、変革行動を取る際に一番大変なのがファーストステップを踏むことです。

人間は面倒くさがり屋なので、この「始める」ことのハードルが高い。
裏を返せば、第一歩を踏めばその後は意外とスイスイいくものです。

日記によって、それを半自動的に作ることができるのです。

そして、継続すれば、「新しい行動」「変革行動」を取ることが習慣化されます。
そうやって、どんどん実践力が高まっていくのです。

2つめは、学び力がつくこと。

この「日記」の一つの鍵は、レビューです。

「自分がとったアクションによってどんな学びを得て、それをどう生かしていくか?」を書くことが求められます。

自分の学びを明確に言語化することではじめて、人は経験を「経験値」に昇華することができます。

ここが「単なる業務日誌」との決定的な違いです。

加えて、日記では「他者からの学び」を書くこともルールにしています。それにより、幅広い観点から学びを得ることができます。

そして究極的には自分に関わる全てのものから学びを得、血肉に変える「学び筋」を鍛え、継続的に学び続けることにつながっていきます。

実践力と継続的学び力。

この両輪が研修を学びっ放しで終わらせず、成果につなげていくための鍵なのです。

最後に、「継続による成果」に関連するイチロー氏の名言でまとめたいと思います。

「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただひとつの道」

長期研修を実施する際には、ぜひ日記をつけさせることを課してみてください。そのパワー、そして「習慣化の底力」を改めて実感できるはずです。

西野浩輝写真マーキュリッチ代表取締役
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。
西野著書写真

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