from 西野浩輝

「商品を語るな、〇〇を語れ」

私が営業を始めて間もない頃のことです。

ある先輩から以下の珠玉の言葉をもらいました。

ここはクイズ形式にしてみます。

「商品を語るな、〇〇を語れ」

さて、あなたなら何を埋めますか?
自分、未来、夢、、、いろいろ思いつくでしょう。

答えは、「事例」です

私がそれを聞いたときは「え? 営業担当者が商品を語らずにどうするんだよ?!」と思い、すぐには理解できませんでした。

ただ、よく話を聞いてみると、その先輩の説明に納得させられました。

要は、

お客さんは別に商品が欲しいんじゃない。欲しいのは解決策。そして他社の問題解決の事例ストーリーを聞くことで、解決策のヒントを掴みたいんだ。だから、商品の語りは最小限にとどめ、事例をたっぷり語れ」

ということだったんです。

「事例を語るパワー」の西野自身のエピソード

この「事例を語るパワー」にまつわる私自身のエピソードを話させてください。

営業を始めて2-3年目以降は、ありがたいことにトップ営業を張ることができていました。

その後、外資系他社に営業としてヘッドハンティングされ、意気揚々と乗り込んだのですが。。。あまりにも状況が違うこともあり、売れずに苦しみました。

「前の会社ではあんなに売っていたのに・・」と必死にあがくも、全く数字が上がらず。ついに上司から最後通告を受けるほど、私は追い詰められていました。

その時、この「先輩の一言」を思い出したのです。

「商品を語るな、事例を語れ」

「自分は大事なことを忘れていた。そうだ、事例だ!」と気づいたのです。

とは言うものの、私にはその会社での販売実績がないので、導入事例のストックがほぼない。

で、どうしたか?

同僚に聞きまくったのです
その聞き方も半端ないほどしつこかった。

「そのクライアントはどういう課題を持っていたのか?」
「別に他のやり方、例えば〇〇という解決策でもよかったのでは?」
「なぜ競合他社でなく、わざわざうちの商品を導入したのか?」

などなど。

そうして同僚から仕入れた事例ストーリーを頭に叩き込んだ上で、改めて営業をしまくりました。

すると。。。

一気に売れるようになり、最終的に2社目でもトップ営業に登り詰めることができたのです。

実践した研修受講者の成果

先日ある企業で営業研修を行った際、事例営業の大切さを伝えるために、このエピソードを話しました。

すると、その中の1人の受講者が、私と全く同じことをしたのです。

徹底的に先輩に事例を聞きまくった。
なんと、2か月で「30個」も事例を集めたのです。

しかも単に数を集めただけではありません。
私と同じく「しつこく」聞きまくって深堀していたんです(笑)

先日「おかげさまで、飛躍的に営業成績が伸びました」との報告を受けました。
こういうことがあるから研修講師はやめられないんです。

ちなみに、その方は「研修講師に『事例をたくさん集めろ』と言われているので何とかお願いします」という大義名分をうまく使っていたようです。

なかなか賢いですね(笑)

他者から事例を集めるコツ

とは言うものの、この方のように研修を受けてない場合、どうやって他者から事例を集めたらいいのでしょうか?

まず1つは、日常からの事例収集の工夫。

ただし、これはタイミングが肝です。

他の営業担当者が「今日A社に行って、オイシイ話になりましたよー」と言って帰社した時にすかさず聞くこと。

本人が話したいモードになっているから、グイグイ踏み込んで質問しやすい。

また、ホットな状態なので詳細まで覚えており、非常にリアルな話が聞けます。

2つめは、自分が大事な商談や提案が控えているときに「何か似た事例ない?」

と同僚に聞くのです。

その際のコツは、漠然と聞かないこと。

「目的」と「お困りごと」を明確に言ったうえで、以下のような質問をするといいでしょう。

「自分の案件が○○○という状況なんだけど…」
「×××において▲▲▲した事例が欲しいんだけど…」

このタイミングでは自分の真剣度が大きいので、聞いたストーリーが脳に刻み込まれることになります。

するとその後の営業場面でも、必要なときにパッと頭の中の引き出しから取り出して、事例トークを披露することができるのです。

「商品を語るな、事例を語れ」

ぜひ肝に銘じて実践してみてください。
あなたに劇的な成果をもたらしてくれることでしょう。

西野浩輝写真マーキュリッチ代表取締役
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。
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