弊社代表の西野がシンガポールの情報誌「Asiax」で『シンガポールで実践!英語プレゼン』のテーマで記事を連載しています。サイトを訪問してくださった皆さまに向けて、記事を随時更新していきます。

マネジャーとして、現地スタッフのマネジメントに悩んでいる人は多いのではないでしょうか?
そういう人こそビジョンや事業戦略、事業計画などを彼らに伝えるプレゼンを最大限活用してほしいと思います。

ただし、この機会を効果的に生かせていない人が多いのも事実です。

例えば、数字の羅列オンリーのプレゼンをしてしまう。聞き手は「あとで見たらいいんでしょ?」とばかりに退屈している。

あとは、本社の方針をただ英訳しただけのプレゼン。自分の言葉で話しておらず、まるで魂がこもっていない。
これでは社員がモチベートされ、仕事にコミットしてくれる状況には程遠いでしょう。

この問題を解決するにはプレゼンの捉え方を大きく変える必要があります。

事実を伝えるのでなく、「感情に訴え、聞き手とつながる」ことにフォーカスするのです。

具体的には、『鳥の目』と『蟻の目』両面からのアプローチがお勧めです。

「鳥の目」をもった高い視点からのアプローチ

まずは、『鳥の目』から。

より高い視点からの話をすることで、自分の仕事の意義をより強く感じてもらうのです。

まさにこれを実践した、海外でも有名な大経営者・松下幸之助さんの例をご紹介します。

その昔、電球を布で磨く仕事をしているある従業員に向かって、こう言ったそうです。

「君たちが電球を磨くことで、町の街灯に明かりがつく。
そのおかげで、怖い思いをして暗い夜道を歩いていた女の人が安心して家に帰ることができる。
暗くなってしまい、絵本を読んでもらえなかった子供も、
君の磨いた電球が灯ることで、引き続き絵本を読んでもらえる。
そう考えると、君たちはたくさんの人を助け、幸せにしてる。ほんまええ仕事してるな~。」と。

ここでのポイントは、従業員に高い視点と大きな絵を示し、社会的意義と自分の仕事をつなげることで、ハートを動かすプレゼンになっているということ。

まさにマネジャーならではの価値を出しているとも言えます。

 「蟻の目」を持って現場の目線に降り立つこと

もう一つは『蟻の目』です。

一言で言うと、彼らの目線に降りてきてあげること。

現地のスタッフは得てして「我々現場のことをちゃんと見えてないでしょ?」と冷めた目で見ているもの。
だからこそ現場感を醸し出すのが大事なのです。

プレゼンにおいて一番いい方法は、従業員の行動や言動を引用することです。

ある精密機械メーカーのマネジャーのプレゼンの例を引用しましょう。

彼曰く、「我々は今変革の時期を迎えている。受け身の営業でなく、こちらから顧客の解決策を提案していくソリューション営業を推進する必要がある」と。

ただし、この後が秀逸でした。部下の1人であるAndyの例を引用したのです。

「Andyは、X社から〇〇〇という相談を受けたとき、安易な製品提案に飛びつかず、
まずは一度持って帰ってチームメンバーに相談した。
その上で、X社の担当者の期待を超えるレベルの『経営課題を解決するための大がかりな提案』
にして持って行き、先方から高く評価された。
先日、X社のMr. xxxに会ったら、いたく感動していたよ。Andy、すごいじゃないか!
みんなもこの行動をぜひ見習ってほしい」

その瞬間、聞き手みんなが笑顔になり、場の空気が一気に和んだとのこと。

もちろん、ここまで大がかりなエピソードを語らなくても大丈夫です。

とにかく、大事なのは、従業員の実名を出した上で語ってあげること。
そうすると、急に親近感がわき、スタッフと感情的につながることができるものです。

『鳥の目』と『蟻の目』の両面からの訴求で、従業員のハートを鷲掴みにするプレゼンにチャレンジしてみましょう。