多くの企業では、新入社員や既存社員に対する教育の場として研修制度を設けています。研修を実施する際には、社内で企画・開催する「社内研修」と、社外の講師や研修ベンダーに依頼する「外部研修」があります。

社内研修と外部研修は、どちらを選んでもそれぞれメリット・デメリットがあります。昨今では外部研修を採用する企業が増えていますが、双方の特徴を正しく理解した上で、自社の現状に合った方法を選ぶべきでしょう。

自社の研修体制を見直している経営層の方や、効果的な社員教育に悩まれている人事担当者の方向けに、社内研修と外部研修のメリット・デメリットを詳しくご紹介します。

社員研修をなぜ行うのか?:社員教育の目的とゴールの設定

社内研修と外部研修のメリット・デメリットの前に、最初に確認しておきたいのが社員研修の目的です。社員研修は主に以下の3点いずれかの目的のために実施されます。

  1. 業務を遂行する際に必要な基礎知識や専門知識を高めるため
  2. 今の仕事の成果向上やさらなる成長のためのスキルを磨くため
  3. 社員のマインドを醸成したり、組織の一体感を高めるため

1の例は、商品知識の研修や業務に必要な資格取得のための研修です。2であれば、プレゼンテーションや営業力など特定のスキルにフォーカスしたスキルアップ研修などがこれにあたります。3は、管理職の意識改革研修や組織メンバー全員を対象にしたチームビルディング研修などが該当します。

研修を実施する際、1つの研修で複数の目的を持たせるケースも少なくありません。
いずれにしても、社員教育の計画を立てる際には、誰(社内の階層や担当業務等)に対して何の研修を行うのか、その目的とゴールを明確化する必要があります。その上で、社内研修と外部研修どちらが適切かを検討しましょう。

社内研修と外部研修のメリット・デメリット比較

社内研修と外部研修では、どちらがいい悪いではなく、それぞれ特徴が異なります。研修の目的やゴールに応じて2つの手法をうまく使い分けることで、社員教育をより充実させることができます。

それぞれのメリット・デメリットを具体的に見ていきましょう。

社内研修のメリット・デメリット

社内研修の場合、講師役を担うのは自社の人事部や企画部の社員、あるいは現場のマネジャーなどが多いと思います。当然ながら社内のことには通じているはずなので、企業のビジョンやミッションの浸透、商品知識や自社制度への理解深耕など、自社独自の教育を実施する際は、社内研修が最適でしょう。

また、社内の交流や部署間の連携強化を研修のゴールとする場合も、自社の状況に合わせて臨機応変に対応できるという点で、社内研修のほうが向いているケースが多いでしょう。

一方、社内研修の場合はどうしても内容がワンパターンになりやすく、受講者のモチベーションも上がりにくいという欠点があります。また、社内で研修を開催するためには相応の時間や労力を必要とするため、その分の人的コストを本業に割けなくなるのは大きなデメリットの1つです。

外部研修のメリット・デメリット

外部研修の場合、社外で開催されるセミナーや勉強会に社員が出向くケースと、外部講師を招いて自社内で研修を行うケースの2パターンに分かれます。後者のケースを社内研修と呼ぶこともありますが、本記事では社外に依頼が発生するため「外部研修」として扱います。

外部研修の大きなメリットは、社内にはない最新のナレッジを学べる点や、外部からの刺激を受けることで受講生のモチベーションが向上しやすい点です。
そのため、深く実用性の高い知識やノウハウ、スキルを習得しやすくなります。

また、社外で開催されている研修に参加するケースであれば、他社から参加した受講生とも交流できるため、人脈が広がるきっかけになるでしょう。新たなビジネスチャンスにつながる可能性もあります。

したがって、スキルアップや意識改革等が目的の場合、または社内にはないアイデアや価値観を取り入れることがゴールの場合は、外部研修が適していると言えます。

外部に依頼する場合、当然ながら費用はかかりますが、研修の準備の大部分を委託できるため、社内の人的リソースを大幅に割くことをしなくて済みます。それによって、自社のリソース配分を最適化しやすくなり、結果的に企業全体の売上・利益や業務効率の向上も期待できます。

ただし、外部に頼む場合は、講師の選定によって研修の質が大きく左右されます。社内研修と違い、講師の人柄や能力を事前に十分に把握せずに実施するのはリスクが大きすぎます。

そのため、外部研修の場合は特に、社員教育の目的や組織風土に合った講師の選定と、研修前の綿密な打ち合わせが必須と言えるでしょう。

社内研修と外部研修どちらを選ぶべきなのか?

研修を専門にしている会社には人材教育の知見やノウハウが豊富に蓄積されているため、社内研修では対応が難しい高度なスキル教育も実施が可能です。

したがって、自社リソースが少ない場合や研修ノウハウが蓄積できていない場合は、社内でしか教育できないコンテンツを除き、まずは外部研修を選んだ方がいいでしょう。

ただし外部研修の場合、受けっ放しにならないように注意することが必要です。

研修の効果定着を図るために、受講した研修内容を社内で共有するとともに、部署全体で適切に活用していくことが重要です。そのためにも、研修レポートのフォーマットを整えておく等、受講者から他メンバーに適切なフィードバックがなされるような仕組みを作っておくといいでしょう。

研修レポートの書き方については別記事で詳しくまとめていますので、合わせて参考にして頂ければと思います。

外部研修の活用で全社的な教育を充実させよう

外部研修によって新たな知識やノウハウを蓄積していけば、それらを元に社内研修もブラッシュアップしていくことが可能です。

そうして社内研修の質を高めることができると、外部研修との相乗効果も大きくなっていき、ひいては会社全体の教育効果がさらに向上していきます。

社内の教育体制を見直す際には、外部講師や專門の研修会社を積極的に活用しつつ、そこで得たノウハウを社内研修に生かす仕組み化とセットで全体設計をしましょう。

なお、外部講師を依頼する際のポイントや依頼文の書き方については、別記事に詳しくまとめています。

当記事でご紹介したポイントを参考に社員教育のさらなる充実に取り組み、会社としての成果と成長に繋げて頂ければと思います。

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