テレコムスクエア

株式会社テレコムスクエアは、海外用携帯電話やWi-Fiルーターのレンタルサービスなどの事業を展開している企業です。

今回、新たな市場を自ら開拓していける人材を育てるために、若手選抜社員を対象に「企画提案力研修」を実施されました。なぜ今回、研修会社としてマーキュリッチを選んだのか。研修の結果、受講者の仕事に取り組む姿勢にどんな変化が見られたのか。

同社人事戦略部門取締役の馬場良浩様、人事戦略グループ統括マネージャーの川野温子様、同グループ宇山結理様にお話を伺いました。

若手選抜社員向け研修をトリガーに、会社全体の変革エネルギーを高める

― 今回テレコムスクエア様では、若手選抜社員を対象に「企画提案力研修」を実施されました。この研修の狙いについて教えてください。

馬場様 当社は、海外用携帯電話やWi-Fiルーターのレンタルサービスを事業の柱としてきた会社です。当初は社員が海外に出張する機会が多いグローバル企業様を中心にBtoBビジネスを展開してきましたが、近年では個人旅行客向けのBtoC分野でも成長を遂げてきました。

しかし業界を巡る外部環境の変化スピードは、加速度的に速まっております。今の好調な業績に満足しているようでは、未来の成長は望めません。

そこで社内の各部署を巻き込みながら新しい市場と顧客を開拓できるセルフスターター型社員を育てていきたいと考え、「企画提案力研修」を導入することにしました。

スタート段階での研修受講対象は若手選抜社員に絞りましたが、実は真の狙いは若手のレベルアップだけではありません。研修を受けることで若手の力が伸びれば、中堅やベテランの社員も刺激を受け、安穏としていられなくなります。若手社員向けの研修を突破口にして、会社全体の変革エネルギーを高めようと考えました。

5つの役割を意識的に使い分けてくれたプロ講師

― 研修会社にマーキュリッチを選んだのはなぜだったのでしょうか。

馬場様 今回は研修を本格導入する前に、私たちのほうからマーキュリッチにお願いして、まずプレセミナーを開いていただきました。そのときの講師の野村さんの姿を見て「マーキュリッチさんなら安心してお願いできる」と確信が持てました。

マーキュリッチの研修の特長は、カスタマイズ力が優れているところです。

当社の状況や課題を的確に把握したうえで、プログラムの構成や進め方を考えてくださる。本研修の中で扱われていたケーススタディも、当社が実際に抱えている生の課題を取り上げてくださいました。弊社の戦略と組織と人、この3つの連立方程式を経営陣と共に解いてくださるようなパートナー、それがマーキュリッチだと言えます。

また野村さんは、受講者一人ひとりの状況や場面に応じて、自分の役割を使い分けられるいわゆる「実践力」の高い方だと感じました。

例えば、

1)受講者自身に答えを見つけ出してほしいときには、良きコーチとして
2)知識やスキルをしっかりと教え込む必要があるときは、良きティーチャーとして
3)的確なコメントが求められるときには、良きコンサルタントして
4)若手の受講者に対して、時には良きメンターとして
5)受講者が精神的に落ち込んでいる場面では、良きカウンセラーとして

というように、5つの役割を意識的に使い分けておられました。

これは受講者の個々の成長を促していくうえで、とても大切なことです。

また5つの役割を通じて、企画提案力を高めるためのスキルだけではなく、マインド面についてもしっかりと受講者に伝えようとされていました。スキルとマインドは人と組織を動かせる人間になるための両輪ですから、若手の受講者にとって非常に学べることが多い研修になるはずだと、更に確信がもてました。

川野様 顧客に対して企画提案をおこなう際には、顧客が抱えている真の課題を把握して、課題解決に結びつく提案をすることが大切になります。

けれども社員の中には、起きている問題の現象面だけに囚われて、表面に絆創膏を貼るような対症療法的な解決策の提案に留まってしまっている者もいます。これでは顧客から信頼を得られず、成約には結びつきません。

そうした中で野村さんはプレセミナーにおいて、顧客が抱えている根本課題やニーズをどのように掴み、それをどう企画提案に結びつけていくかを、受講者にわかりやすく示してくださいました。マーキュリッチであれば、当社の社員が弱点としている部分を補強する研修をしてくださるのではないかと考えました。

馬場様 顧客が抱えている課題を発見するときには、現場で具体的に起きている問題をとことん深掘りして考える必要があります。一方で問題の原因を探り、解決策を導き出す際には、抽象度を上げて考えることが重要になります。そんなふうに一流のコンサルタントは、具象と抽象を行き来しながら、課題発見や課題解決をおこなっているものです。

野村さんはそうした高度な思考の方法を、入社2、3年目の若手の受講者にかみ砕いて説明してくれていました。これも「マーキュリッチさんに、そして野村さんにぜひお願いしよう」と思った大きな理由です。

― 研修はどのような形式で実施されましたか。

川野様 1クラス10名までの少人数クラスを2クラスつくり、1クラス7回の講座を半年で受講するかたちで設計してもらいました。

受講者の顔つきが一変した瞬間

― 研修の間に、受講者のみなさんの様子はどのように変化していったと感じられましたか。

宇山様 最初のうちは、受け身の姿勢の受講者がいたのも事実です。しかし野村さんが、一人ひとりの発言に対して、深いレベルでフィードバックをしてくださったことにより、次第に受講者の意識や姿勢が変わり出しました。

私には、ある忘れられない場面があります。確か5回目か6回目の研修の時だったかと思いますが、野村さんが受講者を前にして、「今、みなさんの中には、私にとって対等に対話ができると思える方と、子供扱いせざるを得ない方がいます。プロのビジネスパーソンとして認められる方と、そうでない方がいます」という発言をされましたよね。

あのひと言で、受講者の顔つきが一変しました。

今回の受講者は、みな同世代の若手社員ばかりです。

ですから「一緒に研修を受けているほかの社員には負けたくない」という気持ちを心の中に秘めています。野村さんは、そうした受講者の心理状態をうまく掴み取り、彼らの意欲に火をつけるのがとても上手だと感じました。

馬場様 野村さんは早い段階から、「自分の成長曲線の角度を上げるためには、自己分析とともに、他者分析がカギになる」と受講者に教え込んでいましたよね。

だから受講者は、自分がフィードバックを受けているときだけでなく、野村さんがほかの受講者にフィードバックをしているときにも、そのやりとりに注意深く耳を傾けていました。受講者がお互いを分析し、フィードバックをし合うという場面も多く見られました。他者分析の大切さを学べたことは、若手社員が今後成長の階段を登っていくうえで、貴重な気づきになったと思います。

また受講者の意識が途中から変わってきたのは、「どうやらこの研修は、仕事の成果に直接結びつきそうだ」ということに、気づきだしたことが大きかったと思います。

印象深かったのは、これまでなかなか成果を挙げられずに苦労していたある若手社員のことです。

その社員は、研修で学んだことをそのまま実践してみたところ、上司でさえアポイントを取ることに苦労していたビッグクライアントと商談の機会を設けることに成功し、関係を築くことができました。研修期間中の3か月の間に、みるみる表情が自信に満ちたものになっていった。

学んだことをすぐに実践で活かせる研修内容であったからこそ、受講者の意欲も高まっていったのだと思います。

思考力や地頭力を鍛える研修を実施していきたい

― 今後はどのような研修を実施することを計画されていますか。

馬場様 今回の研修を受講した若手社員は、顧客が抱えている真の課題を掴み、課題解決に結びつく提案ができるようになるためには、論理的思考力を磨いていくことが大切であるだけでなく、そもそもの課題発見能力も鍛える必要性があると、気づいたはずです。

そこで次は、論理的思考力はもとより、「地頭力」や「アナロジー思考」を鍛える研修を実施したいと考えています。

これまで当社では、「社員の能力は実践の中でこそ伸びていく」という考え方のもと、研修にはあまり力を注いできませんでした。多くの時間と予算を投入し、これだけの大型研修を実施したのは、今回が30年弱の歴史の中で初めてのことです。そんな期待の大きな大型研修をマーキュリッチに、野村さんにお願いすることができて、間違いはありませんでした。

― こちらこそ本当にありがとうございました。

※株式会社テレコムスクエアのホームページ
※取材日時 2019年4月