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from 西野浩輝

「気づかい」とは何でしょう。先日そんなことを考えさせられるお話を耳にする機会がありました。

大口のお客様が地方からお越しになられるということで、打ち合わせ後の昼食を手配したり、提携している他のお客様をご紹介させて頂いたり、その後の接待、宿泊先の段取りまでを完璧に組まれていたそうです。

しかし、最悪の結果になってしまったというのです。

気づかいとは、誰のためのものか

なぜ最悪の結果になったのかというと、お客様が喜んでくれなかったからです。

最初のうちは「ありがとう」という言葉は頂けたらしいのですが、そのうちに「気を使わないで欲しい。後は自分たちで行動するから、自由にさせて欲しい」と別行動になってしまったのです。

始まりは昼食からです。段取りを組んだ会社の近くには有名な老舗の鰻屋があり、そこに案内されたそうです。

ところが、お客様は大の鰻嫌い。料理も既にオーダー済みだったため、ほとんど手を付けられなかったそうです。

食後のお茶として、コーヒーが美味しい喫茶店に行けば、喫煙者の煙が気になりお客様は渋い顔・・・。その後にご紹介した提携企業の社長は、自慢話を繰り広げて上から目線の口調。

夕食にご招待しようとしたところ、先ほどの「気を使わないで欲しい・・・」ということになってしまったのです。担当の営業マンはしっかりと段取りを組み、お客様に喜んでもらおうと努力したのです。たまたま、上手くいかなかっただけ・・・。

いや、違います。

この営業マンは確かに「お客様の役に立ちたい」という強い思いを持っていたのでしょうが、いつの間にかお客様の存在を忘れています。

気づかいとは、「お客様」のためであり、押し付けるものではないのです。

気づかいのポイントとは

相手、お客様をもっとリサーチすべきです。分からないことはきちんと調べなければいけません。
有名な老舗の鰻屋に行けば喜んでくれるというのは、押し付けです。

また、どういうタイプの人と上手くいき易いかというのも、リサーチが必要でしょう。つまり、気づかいはリサーチと相手の気持ちを考えることから始まるのです。

今回の例で言えば事前にこういう予定を組んでいるがどうでしょうかと、相手に確認すべきでした。そして、お客様がNOと言うことを想定した別の選択肢を用意すべきだったのです。そうすれば、スマートな心づかいができたのです。

おそらく担当者は自分のテリトリーに入ってきたお客様に、ここぞとばかり、自分と会社の力を示したかったのでしょう。立ち位置を優位にするために、主導権を握った接待をしたのではないでしょうか。そういうことも場合によって必要でしょう。

しかし、今回は状況を読み間違えています。

その原因は、お客様をよく知らなかったことです。気づかいをするならば、相手をよく知ること。
相手の気持ちをしっかりと確認することです。